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12月07日-03号

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  1. 宇土市議会 2015-12-07
    12月07日-03号


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    平成27年12月 定例会(第4回)        平成27年第4回宇土市議会定例会会議録 第3号           12月7日(月)午前10時00分開議1.議事日程 日程第1 質疑・一般質問  1.野口修一議員   1 総合学習と郷土学習   2 中山間地域の仕事創出   3 着地型観光と情報格差   4 県道58号と網津川  2.樫崎政治議員   1 住民サービスについて   2 環境対策について   3 弱者,高齢者の尊厳について  3.柴田正樹議員   1 デジタル防災行政無線について   2 宇土市における社会科教育について  4.宮原雄一議員   1 台風15号被害について   2 有害鳥獣被害対策について2.本日の会議に付した事件 議事日程のとおり3.出席議員(18人)    1番 今 中 真之助 君       2番 西 田 和 徳 君    3番 田 尻 正 三 君       4番 園 田   茂 君    5番 宮 原 雄 一 君       6番 嶋 本 圭 人 君    7番 柴 田 正 樹 君       8番 平 江 光 輝 君    9番 樫 崎 政 治 君      10番 野 口 修 一 君   11番 中 口 俊 宏 君      12番 藤 井 慶 峰 君   13番 芥 川 幸 子 さん     14番 山 村 保 夫 君   15番 杉 本 信 一 君      16番 村 田 宣 雄 君   17番 浜 口 多美雄 君      18番 福 田 慧 一 君4.欠席議員(なし)5.説明のため出席した者の職・氏名 市長      元 松 茂 樹 君   副市長     池 田 信 夫 君 教育長     太 田 耕 幸 君   総務部長    益 田 輝 明 君 企画部長    荒 木 繁 男 君   市民環境部長  山 本 桂 樹 君 健康福祉部長  那 須 大 和 君   経済部長    田 川 修 一 君 建設部長    下 鶴 治 久 君   教育部長    前 田 保 幸 君 会計管理者   中 熊   聡 君   総務課長    中 川 玲 子 さん 危機管理課長  瀧 口 卓 也 君   財政課長    杉 本 裕 治 君 まちづくり推進課長           市民課長    宮 下   喬 君         川 上 誠 志 君 環境交通課長  島 村 彰 一 君   福祉課長    野 口 泰 正 君 高齢者支援課長 石 田   泉 君   農林水産課長  小 山   亨 君 土木課長    野 添 秀 勝 君   学校教育課長  佐美三   洋 君 指導主事    前 田 一 孝 君6.議会事務局出席者の職・氏名 事務局長    宮 田 裕 三 君   次長兼庶務係長 西 山 祐 一 君 議事係長    清 塘 啓 史 君   議事係主事   志 垣   勲 君                午前10時00分開議             -------○------- ○議長(村田宣雄君) これから,本日の会議を開きます。             -------○------- △日程第1 質疑・一般質問 ○議長(村田宣雄君) 日程第1質疑・一般質問を行います。発言通告があっておりますので,順次これを許可します。 10番,野口修一君。 ◆10番(野口修一君) おはようございます。政風会の野口でございます。12月議会で質問の機会をいただき,感謝申し上げます。 今回の質問は総合学習について,中山間地域の仕事創出について,着地型観光と情報格差について,網津校区内の県道58号線網津川改修について質問いたします。執行部におかれましては,簡潔明瞭な回答をお願いいたします。これから後は,質問席より質問をさせていただきます。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 質問の前に,私どもの会派政風会が10月18日に企画し,実施いたしました住吉漁協海苔育業センター駐車場での第1回うと軽トラ市,いわゆるフリーマーケットには,市議会の方々,市職員の方々には,会場に足をお運びいただき感謝申し上げます。 初めての試みでどれだけのお客さんが来るか予想もできず,当日は予想をはるかに超える来場者で,駐車場整理等で不手際も多々ありましたが,一定の成果が出たということで,既に次の年末市の準備をしているところです。 この軽トラ市は,政風会が主催する地域活性化と地産地消の推進の取組みですが,実はもう1つ目的があり,年末以降の軽トラ市で来場者からアンケートを取ることにしております。質問テーマは,どこから来られたのか,地産地消に関心があるか,どんな商品,目的で来られたか,他にも幾つかありますが,宇土半島の北ルート57号線の問題点などの質問も予定をしております。次回の軽トラ市から毎回アンケートを集めます。また来年2月からは,軽トラ市を毎月開催予定で,毎回のアンケートを整理し,会派の代表質問や個別の一般質問の資料として使っていく予定です。今後も軽トラ市の活動にご理解をいただければありがたいです。 質問に移ります。今回は4つのテーマ,9つの項目について質問いたします。まず総合学習と郷土学習について質問いたします。 総合学習については,これまで何人も質問をしておられますが,私が総合学習はどんな目的で始まり,現在どんな内容をしているのか。また,そろばん学習の現状と今後の課題についてお尋ねをします。 はじめに,総合学習はいつ頃,どんな目的で始まり,どのような内容で実施され,ゆとり学習の指導要綱が転換された現在の総合学習の時間数と内容についても説明をしてもらいたいと思います。加えて総合学習のテーマの1つ,そろばん学習について,今年の実施校と学年,また来年度の実施校と学年の予定がわかっていれば,今後の調査内容に加えるので報告をお願いします。 そろばん学習について,保護者や生徒からのアンケートを取っていると聞いておりますが,内容から計算力,集中力,情報処理の向上から,実施要望がある反面,なぜ学校の選択になっているのかの意見もあると聞きます。アンケート内容を受けて,教育委員会の考えについて教育部長に報告と説明をお願いいたします。 ○議長(村田宣雄君) 教育部長,前田保幸君。 ◎教育部長(前田保幸君) おはようございます。ご質問にお答えいたします。 はじめに,総合的な学習の時間が創設された目的と,現在の総合的な学習時間の授業時数及び内容についてお答えいたします。 平成8年7月の中央教育審議会「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」論議がなされ,「総合的な学習の時間」の創設が提言されました。これを受け,平成10年に学習指導要領の改訂がなされ,新たな教育課程として総合的な学習の時間が創設されました。これにより各学校が,地域や生徒の実態等に応じ,横断的・総合的な学習など創意工夫を生かした教育活動を行えるようになりました。 現在,本市の小中学校における総合的な学習の授業時数につきましては,小学校では4年生から6年生までで実施しており,各学年70時間であります。また中学校においては,1年生が50時間,2年生と3年生が70時間となっています。また内容については,地域や学校,生徒の実態に応じて横断的・総合的な学習や生徒の興味,関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うこととしております。その狙いの1つには,自ら課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,より良く問題を解決する資質や能力を育てること。2つ目に,学び方やものの考え方を身に付け,問題解決や探究活動に主体的,創造的に取組む態度を育て,自己の在り方,生き方を考えることができるようにすることを掲げております。 次に,総合的な学習時間による「そろばんの学習」について,今年度の実施校と取組んだ学年及び来年度の実施予定校と取組む学年についてお答えします。 現在,そろばんの学習については,文部科学省により教育課程特例校の指定を受けて実施し,全て総合的な学習の時間を活用しております。また,そろばん学習を総合的な学習の時間に取り入れた経緯としては,平成17年度から網田小中一貫教育を実践した過程において,「そろばん学習」の教育効果が高く評価されたことを受け,第1次宇土市教育立市プランの目玉授業として掲げ,市独特の特徴として,「そろばん学習」を全市小中学校に導入しましたが,導入後数年が経過していることから,各学校の独自性を生かし,全ての学校が一律に取組むのではなく,学校ごとに効果等を検証し,効果があると判断した学校のみ「そろばん学習」を引き続き実施することとしました。当然そろばん以外の取組みで,総合的な学習の時間を有効に使いたいとする場合も,学校として選択できることから,鶴城中学校及び住吉中学校は,平成26年度から他の学習内容を選択しております。 次に,「そろばん学習」の本年度の実施校と来年度の実施予定校についてですが,平成27年度は,小学校においては,全小学校の3年生,4年生を対象に年20時間を,また網田小学校においては,3・4年生に加え5年生,6年生を対象に年15時間の授業を行っております。また中学校においては,網田中学校の1・2年生が年15時間の授業を行っております。 来年度の取組みについては,まず小学校では宇土小学校緑川小学校がそろばん以外の学習内容を選択することとしております。したがいまして,2校を除く花園小学校走潟小学校網津小学校網田小学校宇土東小学校の3・4年生を対象に年20時間を,また網田小学校におきましては,3・4年生に加え5・6年生を対象に年15時間を,中学校では,網田中学校の1,2年生において年15時間のそろばんの授業を予定しております。 最後に,そろばんのアンケート結果から,実施要望がある反面,なぜ学校の選択になっているのかとの質問ですが,総合的な学習の時間については,文部科学省学習指導要領により各学校において定める目標及び内容に基づき実施することとなっております。したがいまして,先ほどから申し上げましたとおり,学校の意向に基づき行っているところです。 このようなことから,そろばんの授業に取組む学校もあれば,それ以外の学習を取り入れている学校もあります。そろばんの学習を選択している学校につきましては,毎年度1月に教師,保護者及びそろばんを習う児童・生徒への意向調査を検証した上で,従来までの取組みを漫然と踏襲するのではなく,総合的な学習の時間をいかに有効に活用できるかを常に検討した上で,各学校において学習内容を選択しております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 詳しい報告ありがとうございます。アンケートに対する見解もお話いただき,ありがとうございました。 私自身の小学校時代には,総合学習というものはありませんでした。そろばんの授業はありましたが,情報機器の発達した現代社会,現代人がどれだけの人がそろばんを使っているか,皆さんの周りの状況から見ればおわかりと思います。そろばん学習の提案の前に,実は私の子どもの通っていた小学校の同級生に,不登校の少年がおりました。その少年は5年生から突然学校に行けなくなり,中学2年になり悩んだ原因の発達障害を理解し,ご両親もその発達障害を受け入れて,学校に来れるようになりました。その少年の不登校の原因は,アスペルガー症候群の中で,理数科目に出てくる計算問題などで計算式を見ただけで答えが出てくるほど,数値計算の能力が高く,それを本人が一般生徒と比較して異常と気にして不登校になった。他にも要因は少しあるのですが,それがそもそもの原因だったそうです。3年間,本人も家族も悩まれましたが,熊本県の発達障害の方々との交流から,少しずつその個性に理解が深まり,中学2年になり本人と家族が発達障害という学習障害を受け入れ,学校に来始めました。何とその少年は,丸1年の間に3年分の理数科の科目を理解してしまいました。 先月までの決算委員会でもそろばん学習が議論になりました。そのときの議論もそうですが,私はそろばん学習を総合学習でやるよりも,生徒が経験できる週に1回のクラブなどの時間に設けて,数字に関心の高い生徒や家族が選択できる,継続的に1年や2年あるいは3年と続けられるほうが,個性を伸ばす教育につながるのではないかと考えていました。総合学習のテーマが学校選択なので,来年は宇土小学校緑川小学校総合学習からそろばん学習を外します。そうすると,先ほど紹介した数値に興味の強い子どもから,そろばん学習の機会を取り上げる結果になります。 後の質問にもつながるのですが,私が総合学習のテーマの学校選択に委ねている現在の制度にそろばん学習を組み込むのではなく,小学校の時代から誰でも興味を持った時間にそろばんに触れられる2年から3年程度,一年を通してそろばん学習に触れることができるクラブのような時間を実施するほうが,先ほどのアスペルガー症候群のような,数字や化学に関心の高い子どもの個性を伸ばすことにつながるのではないかと考えております。この考えを酌み取っていただき,今後の総合学習の検討課題にしてほしいと思って,今回の質問に挙げました。これで最初の総合学習の質問を終わり,次の質問に移りたいと思います。 2つ目の質問の前に,少しお話をさせていただきたいと思います。上の娘が中学校時代にやった総合学習の発表会の経験と,先月,大牟田市で開催されました地方創世のセミナーから,宇土市教育委員会がこれからの教育テーマに挙げている郷育についてお尋ねをします。 地方創生の様々な議論の中で,地方に人がいないとよく聞きます。講演会でも語られますが,果たしてそうだろうかと考えたりします。上の娘が中学校のとき,ゆとり教育の考えから先ほどの説明にありましたように,中学校でも総合学習に力を置き,様々な取組みがなされてきました。 その中で子ども達の総合学習の発表会があり,保護者にも呼び掛け開催をされました。子ども達が語る住吉中学校区内の歴史を聞き,目からうろこが落ちるような気持ちで話を聞いておりました。テーマは環境で,土と石というものなんですけど,相当分厚い資料で1年掛けて調べた資料でした。自分の足で歩き調べ,歴史に詳しい方から聞き取りもしております。この発表は私達が小中学校時代に全く経験も知識もない,地元の歴史と文化について詳しく調べたものでした。 現在は情報通信の時代とよく言います。4歳の子どもが母親のスマートフォンを使い,ゲームをするのが現実です。その多くの情報が東京から発信される子どもや若者の興味や関心を喚起する情報ばかりで,九州の熊本の宇土の,さらには網津校区の網田校区の情報は全くありません。 西日本新聞関連団体福岡政経懇話会が大牟田市で開催した「大牟田『地方創生』戦略~“公民連携”が地域間競争を決する」のセミナーで,マーケティングコンサルタント西川りゅうじん氏が講演をされました。西川氏は六本木ヒルズの開発,焼酎ブームなどを手掛けた方で,現在は熊本県のブライト企業コンサルタントも務めておられます。ちなみにブライト企業とは,ブラック企業の逆で,業績良く,従業員も大切にする企業の評価活動です。西川氏は講演の中で「神話を学ばなかった民族は例外なく滅んでいる。」と,アメリカの文化人類学者の言葉を紹介し,様々な地域活性化策の紹介の後,最後に,地域づくりは人づくりが大事,その人材育成に必要なものは,これまでの知育,体育,教育に加え,食育と郷土を学ぶ,郷土の郷の字を使い郷育(きょういく)が最も大事と強調されました。 実は宇土市の教育テーマに,同じ郷土の郷の字を使って郷育(ごういく)なるものがあります。まさに西川氏の強調したものに近い考えだと関心を持ちました。西川氏は地方創生に最も大事な仕事は人材育成と語られましたが,そこで宇土市の郷育についてお尋ねをします。 宇土市が学校教育の中で,郷土の歴史文化や地域の仕事等についてどんな学習をしているのか,この郷土を拠点として,日本で活躍するような事業展開する人材を育てる教育なのかについて,現状とこれからの取組みも含め,教育長にご答弁を願います。 ○議長(村田宣雄君) 教育長,太田耕幸君。 ◎教育長(太田耕幸君) 失礼いたします。総合的な学習の時間を活用した,本市小中学校の郷土を学ぶ学習の取組み状況について,その一端を申し上げます。 網田小学校の2年生では,網田の干拓に一生を捧げた網田村庄屋,加悦儀三郎の功績について地元郷土史家を招いて学習しています。全財産を投げ打って,様々な労苦を重ねて64ヘクタールの広大な干拓地を作った,その生き方を考える取組みをしています。 また,走潟小学校の4年生では,江戸時代から明治時代にかけて,走潟地区で栽培されていたマルメロのことについて調べることや,ジャム作り体験を通して,地域の方々と触れ合いながら,走潟のことを知り,故郷を愛する心情を育てる取組みをしております。 また,住吉中学校では,2年生で地元の多くの職場の協力を得ての職場体験学習,3年生で宇土市内の介護施設や養護施設の協力を得ての福祉体験学習を行い,働く人々の生き方に学び,自分の将来の生き方について考えさせております。 このように郷土の歴史文化や地元の仕事については,総合的な学習の時間を活用し,各小中学校で計画的に学習を進めているところであります。その活動の中で,通っている学校や地域に誇りを持ち,将来地元に残って地域のために貢献したいと考える児童・生徒が育っていることも,学習後の作文等から確認することができます。 以上のことから,小中学校の取組みの充実や魅力ある地域づくりの実現によって,地元に愛着を持ち,地元に残り郷土の人々のために頑張りたいという人材が育つと考えます。 次に,郷土に根差した人材を育てるような教育,郷育についてどう考えるかとの質問ですが,第2次宇土市教育振興基本計画におきましても,郷土を愛し,生涯健やかに学び続ける人を育むということで,故郷を育む「郷育」を基本目標の1つに掲げております。議員が考えておられる,郷土に根差した人材を育てるような教育,郷育と,共通点も多々あると思いますので,大変重要な考え方と認識します。 以上です。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 教育長には丁寧に詳しく,各学校のテーマも含めご説明いただき,ありがとうございます。現在の職業に関する体験学習も重要だろうと思いますが,私の関心は子ども達が,網田や網津,緑川,轟などの地域,地区の歴史文化について,どれだけ記憶に残るようなことを学んでいるかが大事と考えます。担当教師がマニュアル的な郷土資料収集をまとめる程度の総合学習では,郷土愛がどれだけ育つか不明です。 西川りゅうじん氏の講演のラストメッセージは「愛郷心の醸成」でした。郷土愛を醸し出す教育の実践を訴えておられました。教師が地域へ出ず,ネット情報の中から総合学習の手法をチョイスして利用するようでは,地域に住む子どもはもちろん,親も総合学習に関心を持ちません。時折「子どもに教えられる。」の経験があると思いますが,そんな学習内容を総合学習で取組んでほしいのです。そうすれば子どもの心に愛郷心が大人になるにつれて,醸成されていきます。 実は10月下旬,私の住む地区に18歳で地元を離れ,40年ぶりに帰郷した夫婦がいます。「いつか故郷に帰る。」と,滋賀県で子育てを頑張ってきた建築士です。これこそが愛郷心ではないかと思います。そんな郷土に熱い思いを持つ次世代を担う人材の育成を行うには,まず,トップである校長が,率先垂範で地域の歴史や文化を知り,学ぶために,各地区のリーダーや長老たちと触れ合い,語り,地域の思いを理解することが大事と思います。トップの地域への関心が愛郷心を持つ人材の育成につながると考えますので,総合学習に愛郷心を育てる学習の実施をお願いして,この質問を終わります。 次の質問に移ります。中山間地域の仕事創出について質問いたします。 最近,農業を取り巻く問題から,放置林対策についてお聞きしたいと思います。 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が,新聞などを賑わせていますが,宇土市の西部地域では,なかなかどんな影響が来るのかいまだに不透明です。そんな中県内では,嘉島町全体の農地を集約した農業生産法人ができ,今年の秋には,宇土市の走潟地域の農地が集約され農業生産法人ができました。近々,旧下益城郡城南町でも全町の農地を集約した農業生産法人ができると聞きます。 これを聞く中で思うのが,農業の後継者不足より以前から中山間地域で仕事をする人が減り,早くから放置林が目立ち,結果として人が入らないからイノシシが増えるし,被害が中山間地域の農地から平地まで拡大をしてきました。これを踏まえて,もっと山に人が仕事で入るようになれば,イノシシの増殖が抑えられるとの研究もあると聞きます。国の事業には,山林を集約し,計画的に間伐や植林をする計画を作り,認定されれば交付金があるとも聞いております。 宇土市はこれまで放置林対策や山林集約について,どんな取組みをしてきたか,また今後の対策について,経済部長にお尋ねをします。 ○議長(村田宣雄君) 経済部長,田川修一君。 ◎経済部長(田川修一君) 山林集約や放置林対策について,これまでの取組みと今後の対策についてお答えいたします。 本市におきましても,少子高齢化が進み,特に中山間地域におきましては過疎化が進んでおり,人口減少をどう食い止めていくかが課題とされております。山林集約,ここでは山林の集積につきましては,森林整備地域活動支援交付金を活用した森林経営計画の作成や集約化に必要な経費の補助,森林経営計画の認定を受けた人への森林環境保全直接支援事業を活用した下刈り,間伐等に対する補助があります。この事業の採択を受けるには,林業への意欲のある方が集まって森林経営計画を策定する必要があることなどが必要となってまいります。 一例といたしまして,美里町では緑川森林組合が受託し,実施されております。しかし,有効であると言われている反面,課題もあるようでございます。1点目に,不在森林所有者が所有している森林が,ポイントにより違いますが,3割から5割程度あり,連絡を取っても全く応答がない方や現在の所有者が不明で始業ができない。2点目に,林道の整備がない箇所では,搬出コストが高く採算が合わない等,計画の策定が難しいなどの問題があるそうです。 次に,放置林につきましては,「水と緑の森づくり税」を活用した針広混交林化促進事業で間伐を行う事業があります。網引町におきましては,緑川森林組合が事業主体となって,平成24年度に約1.6ヘクタール実施され,今年度におきましても約17ヘクタール実施中であります。 今後も引き続き森林の有する多面的機能の維持,増進を図るため,適切な造林,保育や間伐等を推進することを基本とし,森林林業を支える地域のために,定期的に広報紙やホームページを活用し,周知を図っていきたいと思っております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 報告ありがとうございます。報告を聞きながら思ったのは,今年やっと海のアサリ増加対策ケアシェル事業に補助が出たことが頭に浮かびました。また,もう1つ思い出したのが,小泉首相時代,東京の都市整備へ相当の公共投資がなされました。最も納税者の多い巨大地方自治体,東京都も整備すべきとの考えだったと記憶しております。そのような政治がこの宇土市で実施されていなかったか危惧します。納税者の多いところを支援するのではなく,政治は税の再配分でないといけないと学んできました。政治は厳しいところほどてこ入れをする,それが政治と思います。 11月に発足した宇土市の西部地域活性化を目的とする,西部出身の市議6人で議員連盟を作りました。その議員連盟でイノシシ対策の先進自治体である佐賀県武雄市,アサリ再生に成功している長洲町の取組みを視察,研修してきました。この自治体の事業は,他の自治体の前例のある問題点を挙げ,事業の取組みを先送りするのではなく,とにかくできることから実施する。それが研究段階であろうと可能性があれば取組む姿勢があるから,他に先んじて実績を残すことができる。とにかく職員の熱心さに感動しました。長洲のアサリ再生は,山の広葉樹の落葉から発酵して生み出されるフルボ酸がヘドロ再生にも海苔のような藻類にも良い効果があると突き止めた福岡大学の研究チームと共同で実証実験し,それが成果を出してきました。山の再生に取組むことは網津川,網田川の流れ込む住吉海岸,網田海岸の保全に寄与すると学びました。長洲町の取組み発表には,宇土市の農林水産関係の担当3人も参加されたと,長洲の研修で報告を受けました。 余談が長くなりますが,今のように山林集約を広報うと等で呼び掛けるだけでは,先ほどの所在不明の放置林の所有者は見つかりません。もっと積極的に緑川森林組合と協力して取組んでほしい。武雄市や長洲町の担当課の職員のように,周りを巻き込むような熱意を持った活動をお願いしたいと思います。何度もこの質問をこれからやっていきますので,真剣にご検討いただきますようお願いいたします。 2つ目の質問は,前の質問の関連ですけれども,高知県では,薪ボイラーや温泉施設やビニールハウスの熱源として薪ボイラーを利用しております。薪ボイラーの推進で,山林内に人が仕事に入ることで鳥獣増加抑制につながり,加えて地球温暖化防止と中山間地域の農閑期の仕事づくりにつながるので,温泉施設やビニールハウスの熱源に薪ボイラーの推進の考えがあるか,経済部長にお尋ねをします。 ○議長(村田宣雄君) 経済部長,田川修一君。
    ◎経済部長(田川修一君) 薪ボイラーの推進の考え方についてお答えします。 県内の事例を調査いたしました。球磨郡五木村で既存の重油ボイラーから,薪ボイラーへの熱源の更新を行った温泉施設がありました。これは薪を利用したボイラーを整備することにより,将来的に燃料コストの削減,間伐の切捨て木材や薪の活用,燃料持ち込みによる所得控除,地球環境への負担軽減を行う等の目的により,平成25年度に緑の産業再生プロジェクト促進事業で更新されております。 この温泉施設の運営実施状況は,11時から21時まで営業されており,8時から17時まで薪ボイラー,17時から21時まで重油ボイラーが熱源として利用されております。平成26年度の試験結果ではありますが,燃料が薪ということで含水率が薪の使用量・温度管理及び不完全燃焼にも影響が発生し,併せて排煙対策が必要でありまして,薪の質,作業員の能力が影響するため精通した人材が必要です。さらに集落の理解や保健所の検査が必要となるところが課題だと考えられております。今後,薪の調達方法や炭化等も含め比較,検討されているそうでございます。 次に,平成25年度と平成26年度の運営経費を比較された結果,平成25年度のランニングコストは,これは重油でございますが1,730万円。平成26年度からは薪ボイラーと重油ボイラーとの併用で2,020万円。290万円の増額となり,費用の内訳では,燃料費は削減できたものの設備費や人件費がコストを上昇させております。 県内の事例では,以上のような状況でございますが,全国的な事例の情報収集や運営方法の効率性の検討,また綿密なコスト算定が必要だと思います。確かに本市の温泉施設やビニールハウスでの熱源に薪ボイラーを設置した場合,近くの山林からの材木を供給することで雇用や鳥獣被害につながるとは思いますが,コスト面や排煙対策などを総合的に検討する必要がございますので,推進には慎重にならざるを得ないと考えております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) ご回答ありがとうございます。宇土市の山林が全地域のどれだけあるかはこれから調査し,放置林の状況もデータ集めをしていきますが,回答を聞きながら,どこの自治体も同様と思いますが,これまでの政治目的は,行政改革でのコスト削減が主なものでした。しかし,今回,国が打ち出した地方創生が目指す政治は「限界集落の維持相続に都市部の若い人の活用や熟年世代のUターンなどの政策を地方で考えたら予算を付けますよ。」です。 実際に宇土市でも,空家対策と西部活性化に地域おこし協力隊が来年から投入されます。宇土市は,熊本市に隣接する東部には呼び込まなくても住民が増えますが,緑川,網津,網田は,市でこれまでも活性化策をやられたと思いますが,西部地域から宇土市の市街地への移住が止まりません。この後に質問する西部地域のネット環境の格差解消には,公的資金の投入は不可能しか回答が返ってきません。私などは今回の地方創生が始まるまでは,西部地域の住民は地域を捨てて市街地へ移住すればよいと国は考えているのではないかと思った時期もあります。これまでのような行財政のコスト削減の政治では,西部地域の人口減少は止まりません。政府の目指す地方創生の政治は,限界集落にしないよう宇土市内の西部地域への投資が必要と要望しています。これまでのように,公的事業のコスト削減ばかりの発想でいけば大赤字の宇土,三角のバス路線はすぐに廃止すればよいことになります。しかし,なぜしないのか。それは数名だが利用している人がいるから,3,000万を出して維持しているのではないでしょうか。 先週日曜日,中米屋の米澄邦夫さんが主宰される中国古典の勉強会に参加したとき,市街地に住むある商店主が「海の環境悪化は山の保全ができていないから。」と厳しく指摘をされました。また,先人の訓示に「田園部に住む住民は,山間地に住む人の心は理解できない。」もあります。東部地域に住む住民の何パーセントかは西部からの移住者です。このまま何もせず宇土西部地域の中山間地の集落,農地を荒廃させるのか,それとも宇土の自然環境を維持するため投資をするのか,真剣に考えていただきたいと思います。 これまで同様の質問を繰り返しても,前向きな回答はないでしょうから,今後は11月に発足した西部活性化を目的とする議員連盟の主要課題,鳥獣被害対策とアサリ再生に加え,鳥獣被害抑制につながる山林集約と放置林対策を目的とする中山間地域の仕事創出も重要課題として取り上げていただき,市へ要望していく考えですので,全部署挙げて地方創生の視点から,西部地域活性化と中山間地域の集落維持の政策の検討をお願いして,この質問テーマを終わります。 3つ目のテーマは,宇土市の西部地域の観光と情報格差について質問いたします。 宇土市の西部地域で光通信網が整備していないことは,皆さんもご存じだと思います。また着地型観光への情報インフラ対策についてもお尋ねをします。聞き慣れない着地型観光についてご説明をいたします。 最近,八代港に巨大フェリーで中国,韓国からツアー客が来られますが,フェリーから降りて貸切バスに乗り換え,阿蘇,天草,人吉あるいは熊本市の繁華街へ出向き,一日そこで過ごすことも実は一種の着地型観光ですが,私の質問の着地型観光は,御輿来海岸の干潮に合わせ,車や列車で現地へ出向き,自分の思う干潟の風景をカメラを構えて撮影するカメラマンや,史跡や景勝地を見学して歩く歴史散策ウォークやフットパスに参加するような自ら興味を持った地区,場所へ出向き,その場所やコースで非日常を体験して過ごす観光のことです。また大型フェリーの観光客,御輿来海岸に来るカメラマン,フットパスの参加者は,感動した風景や店の様子など,写真やビデオに撮影し,すぐにインターネット上にアップします。そして,その場が観光スポットや聖地として知られるようになり,さらに爆発的に人が増えているのです。 特に中国,韓国の観光客の人気スポットは,個人のネット配信が主に広がっております。そこで確認したいのが,宇土市のネット環境は,この社会現象にどこまで対応できているのか,現代の携帯電話,いわゆるスマートフォンや携帯端末の利用状況の認識についても企画部長に報告をお願いします。 ○議長(村田宣雄君) 企画部長,荒木繁男君。 ◎企画部長(荒木繁男君) 本市のインターネット環境の現状についてお答えをいたします。 現在,本市の西部地区以外のインターネット環境については,民間の通信事業者によって光ファイバー網の整備がなされております。また,スマートフォンやタブレットなどの無線通信端末利用環境についても,市街地及びその周辺エリアにおいては,携帯電話事業者の3社ともに,通信速度,処理容量共に十分な環境にあると考えております。 しかし,西部地区は,携帯電話事業者の3社によって差があるようですが,地域によっては通信速度,処理容量が不足しているため,1つのアクセスポイントに多くの端末が集中することで,通信待ちの時間が長くなるなど,観光スポットからリアルタイムでの動画配信など,SNSに情報発信できる無線通信環境は十分とは言えません。また,このことを補うためのWi-Fi環境整備についても,西部地区においては一部を除き,Wi-Fi環境整備の前提となります光ファイバー網も未整備となっております。 このように本市のインターネット環境は,西部地区において通信速度,処理容量が不十分な地域が残っていると思います。 以上であります。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 詳しい説明ありがとうございました。西部地域のネットインフラは認識のとおり相当遅れていて,言葉は悪いですが,話にならないぐらい一時的にはデータを送るのが遅いときがあります。 先ほどの質問でご紹介した網津にUターンした建築士ですが,滋賀県の都市部で仕事をしていたので,有線のネットは全て光通信だったが,網津は話にならないぐらい遅いので,今後の仕事環境をどうするか教えてくれと問い詰められました。今のままでは,都市部に住むUターンしたい熟年世代も,この状況なら光通信が整備していない地区には帰れないのが現実なのです。このまま光通信整備の要望ばかり考えていては,私の住む地域は死ぬまで整備できず,結局「熊本市の医療,通信環境の良い地域に移るしかないね。」と家族と話した時期もありました。 話は戻りますが,Uターンした建築士に対する回答は,携帯電話の容量の多い,ポータブルWi-Fiの利用を勧めました。光通信を待っていては,滋賀県と同じ仕事環境は未来永劫実現できない。ならば常に移動の多い建築業の現状から,ノートパソコンとWi-Fiの利用を勧めています。現代は製図版で図面を描くことはありませんので,そのやり方が最善の解決法ではないかと考えております。 だいぶ前置きの話が長くなりましたが,光通信を市直営で整備するには,国の交付金があると聞いております。ただ,整備後の維持,保全のための交付金はない,後々には関連機器類の更新等々の莫大な費用が予想されるなどいろいろありますので,これまで何度もこの質問をする中で,執行部からの回答は,常に「要望しています。」ばかりでした。 今回,私からこの行き詰まりを打開する1つの提案をします。前の質問の着地型観光では,人気エリアや聖地,繁盛店などに人が集中します。フットパスの参加者もある地点の風景の良いところを撮影をします。ウォーキングは自由散策がつきものですから,電波状態が悪い部分もありますので,撮影した素晴らしい映像や録画を大量データ通信が可能なアンテナ近くで発信すれば,ユーチューブ,フェイスブック,ラインにアップすることができます。 また,御輿来海岸に来られるカメラマンの所持するカメラは,撮影したらすぐにクラウド上にある自分のカメラ保存場所へデータを送るものもあります。このシステムは東日本大震災のとき,GPSの付いたクラウド転送可能のカメラで被災地を撮影し,クラウドにアップすることで,被災場所を地図上に表示し,捜索活動やボランティアの手伝いの場所をすぐに知らせることができたそうです。御輿来海岸に来られるカメラマンのカメラは,アマチュアでも相当に高度な撮影が可能なものばかりで,送信データの容量がでかいので,皆さん仕方なく帰宅後に整理してアップをされています。GPSの機能の付いたカメラは使えませんし,初めて来た方が感動してスマートフォンで撮った画像がすぐにネットにアップできません。 そこで提案したいのが,宇土市の西部地域全体を都市部並みの光通信速度と容量に近づけることも,今後も努力が必要と思いますが,御輿来海岸のような重要な場所や,人が集まるスポットのエリアだけ,携帯電話の通信速度を超高速にし,通信容量を10倍から20倍に上げれば,当分は事足りると考えております。この提案を踏まえて,西部地域の情報格差の解消,携帯電話との協議も含め,通信速度アップと容量の増加に向けた取組みについて,企画部長にお尋ねをします。 ○議長(村田宣雄君) 企画部長,荒木繁男君。 ◎企画部長(荒木繁男君) 西部地区の情報格差改善についてお答えをいたします。 昨年の平成26年第2回定例会において,野口議員から西部地区のWi-Fi環境整備についてご質問がありましたので,その後,通信事業者2社に対し,Wi-Fi環境整備の前提となります光ファイバー整備の要望を行っております。しかし,2社ともに「現時点では採算が見込めないので,通信事業者単独でのサービス提供は困難である。ただし,宇土市が整備費の一部を負担する条件であれば整備は可能」という回答がありました。その際の一部負担金の額は,2億円程度との試算額が提示されております。 民間の通信事業者などに整備をお願いします民設・民営方式の場合は,国の交付金などの財政支援は見込めない状況でありましたので,これまで国に対していろいろな機会を通じて,民設・民営方式への自治体の負担金に対する財政支援の要望を行ってきたところです。しかし,国からの回答を待っていても相当時間がかかるようですので,まずは西部地区の観光スポットだけでもスマートフォンやタブレットといった無線通信端末が快適に利用できるよう通信速度や処理容量が改善できないか,携帯電話事業者の3社に対して相談,要望を行いたいと考えまして,11月の末,NTTドコモに網田,島山の干潟景勝地周辺の通信環境調査を行っていただきました。調査結果は,NTTドコモの場合は通信環境は十分に整っているとの回答でありました。 具体的に申し上げますと,島山にある基地局エリア内で,例えば20人くらいの方が動画発信をしても,完全に同時に発信しなければ通信に影響はないとのことでありました。なお,同じ場所でも携帯電話事業者ごとに通信環境に差がありますので,NTTドコモ以外の2社に対しても通信環境の調査をお願いしたいと思っております。 以上であります。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 現状報告と光通信の整備の可能性は何度も聞いてまいりましたが,先ほどの携帯電話の通信網の整備の報告に関しては,少し期待できるかなというふうに思いました。 特に御輿来海岸には,毎月,干潮の時間には昼夜関係なく,春夏秋冬の季節関係なく来られております。また数名ですが,きれいな写真の紹介や撮影場所の掃除,さらには良い写真の撮影方法まで教える献身的なカメラマンもおられます。日本の絶景で常に上位の評価を受け,熊本駅,熊本空港に干潟や夕陽の写真が紹介されている御輿来海岸の周辺だけでも,感動して動画や高感度の写真などが感動のままにネット上にアップできるよう,通信容量アップをお願いして,この質問を終わりたいと思います。 最後の質問テーマに移ります。網津校区のインフラに関する質問です。 網津校区の幹線道路,県道58号線の護岸崩落現場の改修工事は,一旦中断した後,工事は今,順調に進んで,今朝通りましたら矢板が半分取れておりました。地域の方々から「いつ完成するのか。」の質問に,「年末年始には舗装までですが,通行できます。」と答えられるようになり,完成が楽しみになっていますが,それでもいまだに工事の中断について説明を求められるので,網津校区以外にも似たような地盤の地質が多い干拓地域の宇土市ですので,護岸崩落の原因は何だったか,現在の工事内容はどのような護岸補強を目的に進められているのか。また設計見直しがあり,工事が中断した理由と変更内容について,建設部長に報告をお願いします。 ○議長(村田宣雄君) 建設部長,下鶴治久君。 ◎建設部長(下鶴治久君) お答えいたします。 ご質問の網津川護岸工事につきましては,熊本県が事業主体として発注している工事でありますことから,宇城地域振興局土木部に工事内容等を確認しておりますことについて申し上げます。 被災しました県道58号宇土・不知火線の網津川護岸の崩落は,平成27年6月12日の梅雨前線豪雨の影響により,網津川左岸の護岸が延長19メートルにわたり崩落いたしました。このときの雨量は,宇土雨量局で最大時間雨量58ミリ,最大3時間雨量126ミリ,最大24時間雨量254ミリを記録し,網津川水位局におきましては,氾濫危険水位を45センチ超える291センチを記録いたしました。 今回の災害は,この出水時に水衝部,水が当たる部分でございますけれども,水衝部である本箇所において河床の異常洗掘が発生し,既設の空石積護岸が崩落したものでございます。 今回の復旧工事は,河川管理者であります県の宇城地域振興局土木部において,被害を受けました施設,機能を従前のとおりに復旧する災害復旧事業により工事が実施されております。ただ,既設が空石積であるため,再度同じ箇所が被災しないようコンクリートブロックの練り積みによる復旧を行うとともに,袋詰め玉石を設置し,河床の洗掘防止対策が実施される予定でございます。 また,9月上旬に一時工事が中断しましたが,これは工事着手後,床掘りを実施していましたところ,切り回しをしていた河川水が床掘りが完了した基礎底面から吹き出し,作業が不可能な状況となりましたため,鋼矢板による土留めを施工する必要が生じ,その対策への変更設計及び鋼矢板の資材取り寄せ等に時間を要しましたため,約1カ月間工事が一時中止されております。 復旧工事の内容につきましては,中止前と全く変更なく,現在鋼矢板の施工も完了し,順調にコンクリートブロック積みの施工が実施され,年内の暫定的な県道の開放を目標に作業が進められている状況でございます。最終的には来年2月末までには,災害復旧工事の完了及び県道の完全開放を計画されているとのことでございます。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 詳しく工事の中断を含めご説明いただき,ありがとうございました。年末年始は舗装までできないが,通行可能にしますとの現場でもお話を聞いたところです。完成は舗装工事が終了後の2月末とのこと,冬の厳しい時期ですが,準備をしっかりやっていただき,1日でも早く開通できるようにお願いして,次の質問に移ります。 次の質問は,干拓地域の特性を持つ網津川の問題点と課題について質問いたします。 今年の水害と言えば,関東の鬼怒川堤防の決壊で大変な被害が出たのは,テレビ報道で皆さんもご存じと思います。先月熊本市で開催された肥後銀行が主催する第29回肥後の水と緑の愛護賞授賞式・シンポジウムに参加をしました。そのときの基調講演で,国土交通省の技師の竹村公太郎氏が「日本文明と水循環」のテーマで歴史の政治的変化の要因を土木的視点から説明をされました。 全国の干拓地は江戸期260年,戦(いくさ)がなかったので,農民自ら受益者負担で干拓地や新田開発の取組みが進められ,特に遠浅の有明海沿岸では,広大な干拓地域を形成することができた。鬼怒川エリアの湿地帯の新田開発も江戸期に作られ,ほとんどの堤防がその時期に建設されたと報告をされました。 実は,明治政府以来の国の土木事業は,現在の国土交通省(旧建設省)も含め,水害で崩れた箇所を強化するだけのメンテナンス的な補強策をやってきたとの説明もありました。川の全流域を抜本的に補強する護岸工事は,これまでしてこなかったとも語られました。 そこで,私は網津川の道路崩壊以来,河口から上流まで何度も詳細に調べて回りました。網津校区の干拓地域も他と同様で,江戸時代に3度,あるいは4度説もありますが,古い時代に作られた護岸ほど根元はもろく,今回のような崩落がいつ起きてもおかしくない部分が素人目にも十数箇所見つけることができます。 県管轄の県が管理する網津川護岸ですが,特に古い時代の干拓地域の河川の補強,県へ地域挙げて強力に訴えていく必要があると考えております。市として,今回の崩落と今後の対策について,建設部長に回答をお願いします。 ○議長(村田宣雄君) 建設部長,下鶴治久君。 ◎建設部長(下鶴治久君) お答えいたします。 今回の護岸崩落につきましては,網津川沿線並びに地域住民の皆様方には,ことのほかご心配やご不安を抱かれたことと推察をしております。また,現在も道路が通行止めの状態で,網津地域の皆様方にはご不便をお掛けし,市といたしましても大変心苦しく思っているところでございます。 今回の災害では護岸の崩落のみでありましたが,「もし堤防が決壊していたならば」と思いますと,今年の9月に茨城県常総市で発生しました鬼怒川の堤防決壊のような大惨事になっていたのではないかと思う次第でございます。 河川の堤防決壊はあってはならないことでありますが,野口議員も自ら網津川の点検を行われ,危険と思われる箇所を把握されておられますように,網津川には堤防がもろくなっていると思われる箇所が点在をしております。そういった箇所は,早急な対策が講じられる必要があると認識しておりますし,そういう箇所を早く発見して,早く補強や補修を行うことが大事であると強く思っているところでございます。 現段階では,県も月1回の巡視に加え,出水後の緊急点検などを実施されておりますが,今後は地元住民の方の意見や情報提供等を受けながら,巡視点検を行ってもらうことで,より正確な点検と適切な対応ができるのではないかと考えております。 したがいまして,巡視点検方法等の見直しについて,県へ進言を行いたいと思っております。また,予算の確保や補修を含めた工事等への要望活動につきましても,今後も網津川改修期成会と連携を図りながら行っていきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 回答ありがとうございます。護岸の崩落原因と網津川の歴史的背景をご理解いただき,今後の取組みに関して地元地域と協力し,さらに強い網津川の護岸補強は,県道58号線の強化にもつながることなので,現在の狭い部分や離合箇所の設置要望も含め,さらに強力に県へ要望活動が必要と考えますので,来年,再来年の春,網津小学校の隣の市民グラウンド北側に防災センター,支所の新設が間近です。網津校区の安全・安心なまちづくりに向け,周辺のインフラ整備を要望して,この質問を終わります。 最後の質問です。また,網津川に関してですけれども,網津川の水害対策で網津校区の干拓地で網津川の西側エリア,常に梅雨時や台風の大雨で毎回道路の冠水,床下浸水の被害等を受け続けてきました。前の質問で,干拓の多くが江戸時代の事業で,現代の生活環境のためにつくられておりませんので,しかし,居住されている市民は毎度冠水被害で困られております。 このエリアは農業関係者だけでなく,一般住民も多く住まわれている人口の多いエリアでもあります。市は,冠水常襲地帯の改善に真剣に取組む気はあるのか。被害の対策について,加えて今後は土木的な対策の発想も必要と思いますので,建設部長に説明をお願いしたいと思います。 ○議長(村田宣雄君) 建設部長,下鶴治久君。 ◎建設部長(下鶴治久君) お答えいたします。 網津川の西側地域の冠水対策につきましては,低地である地域の形状により,梅雨や台風時の大雨時には内水を排出するため,網津第2排水機場を長時間稼働させる必要があります。しかしながら,網津第2排水機場は,完成から約40年が経過し,施設の老朽化により排水機能が低下をしておりますので,近年は農政事業で排水ポンプのオーバーホールや機械・電気設備等の改修や補修を行っているところでございます。 このように排水機場の排水機能維持を図るため,長寿命化対策を行っておりますが,施設全体の老朽化は否めない状況であり,解消には至っていない状況であります。 したがいまして,冠水地帯の解消,改善につきましては,豪雨に耐え得る機能を持つ排水機場とそれに雨水を導く導水路の整備が必要であります。そこで,熊本県が事業主体となります農政サイドの県営事業での整備を再三要望しました結果,平成25年度に新たな排水機場の整備に必要となる事前調査が行われました。しかし,当該地域内の農地の宅地化が進行し,受益地としてカウントする農振農用地が減少しているため採択基準に合致せず,農政サイドの補助事業での機能アップの施設整備は,困難な状況だと結論付けられております。 このような状況で,排水機場や関連する施設整備を行うには,膨大な費用を要することから,市単独での施設整備は大変厳しい状況でございます。今後は,当該地域の冠水を改善するために農政事業のみならず,公共土木事業等の補助メニューを再検証してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 野口修一君。 ◆10番(野口修一君) 農振などで何度もお聞きした回答なので同じと思いました。確かに排水機の設置の当初からは地域が大きく変わり住宅地が増え,そのため降った雨をため,吸収する田畑も減っております。農政での整備は,何十年後かわからない状況と理解をしております。そして,排水機の取り替えの事業は16億円とも18億円とも言われる予算,さらに三角線下の水路の拡張も必要と理解しております。事業費は大きく,交付金はあっても市の持ち出しも大きくなり,目途が立ちそうにない現実で未来は暗くなります。冠水常襲地域の住民は,納税者に何もしないのかとよく言わないなと思いますが,いつ要望活動が起きてもおかしくないと考えます。20億円近い排水機建て替えの国の助成を待っていては,今,不可能という話もありましたので,いつ冠水被害のない地域にできるか目途が立ちません。 議員になり,何度も大雨になれば,どれくらいたまり,どれくらいの時間をかけて引くのか見に行きました。長靴を履いてどれだけ深いのか,車でどこまで行けるのか,床下浸水は何軒か等々を検証して考えた末の1つ提案があります。それを説明する前に,再度言いますが,排水機の取り替えを交付金の順番を待たず実施すれば,市の負担は周辺の土木工事も含め事業費は莫大になり,市債を発行して借金でもしないと実現不可能と理解しています。 そこで提案ですが,まず冠水する道路に関して,団地内に共有する道路があれば市に無償寄附をしてもらうこと。主要な市管理の生活道嵩上げを市の事業で行う。加えて床下浸水する住宅,床下浸水の恐れのある住宅は,建築工事の曳屋の手法で冠水しない高さまで基礎を嵩上げする。この曳屋の工事を国の水害対策の交付金があれば利用し,なければ市単独でも冠水常襲地域の被害対策として,できれば工事費の3分の2補助,最悪でも2分の1補助して,水害を受けにくい住環境に改善してほしいのです。 曳屋とは,江戸時代からある家屋を移動する工事法で,関東大震災後の復興で後藤新平東京市長が,広い道路を確保するために区画整理事業に活用しました。突拍子もない提案と聞こえますが,農道整備では自己負担を求めますが,負担が1割とか3割とか出せば整備できます。西部地域は農地規制が厳しく,そう簡単に現在の住宅地以外への移転が厳しい現状でもありますので,毎年冠水する地区に20年以上住んでいる納税者がおられます。そろそろ真剣に安心・安全の住環境の整備の支援をする時期に来ていると考えます。厳しい環境に住み続けられるように支援することこそ,地方創生の最大の目的と思います。 元松市長にも今回の提案を真剣に受け止めていただき,耐震改修補強も重要と思いますが,網津地区の冠水常襲地域の住環境改善にも支援をいただき,安心・安全な地域の実現をお願いして,今回の質問を終わります。 今回の質問は,総合学習について,中山間地域の仕事創出について,着地型観光と情報格差について,網津校区内の県道58号線網津川改修について質問をいたしました。執行部におかれましては,簡潔明瞭で誠意ある回答をいただき,ありがとうございます。是非検討事項も含め,積極的な政策の実行をお願いして,私の一般質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(村田宣雄君) 9番,樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) 皆さん,おはようございます。宇土、みらいの樫崎でございます。 ただいまから通告に従いまして,一般質問をさせていただきます。 今回は3項目質問させていただきます。執行部におかれましては,簡潔明瞭なる答弁をどうかよろしくお願いいたします。 それでは,質問席に移りまして質問させていただききます。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) まずはじめに,住民サービスについてお伺いいたします。 マイナンバーカードを活用して,コンビニの住民票や印鑑証明,明細付きの交付取り扱いはできないのかについてお尋ねいたします。今回,芥川議員の質問と重複いたしますが,趣旨が違う部分もありますので,あえて質問させていただきます。 このコンビニ交付は,今までは住民基本台帳カードにおいて市町村の窓口に行き,コンビニ交付のためのアプリケーションを登載し,交付する証明書ごとに暗証番号を設定することにより利用可能となっておりました。しかし今回,マイナンバーカード,個人番号カードにおいては,申請時に電子証明書さえ登載しておけば,後は住まいの市町村が新たにコンビニ交付を開始したタイミングで,特段手続きなしに電子証明書の暗証番号だけで利用できるようになります。証明書ごとの暗証番号は一切不要でございます。ということは,簡単にできるわけでございます。 芥川議員の説明の中でも,本市コンビニの住民票交付の見込みということで回答が出ておりましたが,平成26年度の交付数に当てはめて推計しますと,証明書交付数約4万2,200通のうち3,200通がコンビニで交付が見込まれるということでありますが,私は今回マイナンバーカードになりますと,もっと簡素化できますので,もっと増えるのではないかと思うわけでございます。 さらに個人カードにおいては,住民票の本籍地が異なる住民の方でも,本籍地の戸籍の証明書が取得可能となる予定であります。熊本市では,今月の定例議会においてコンビニ住民票を発行する条例改正等が上がっているわけでございます。 また,発行の際のコンビニの店員は介在不要でございます。証明書がマルチコピー機で既に処理が完了し,コンビニ店舗の店員は一切介入いたしません。個人情報が他人に見られることもありませんし,証明書の偽造の防止対策においても,マルチコピー機から交付される証明書には何重もの偽造防止対策が施されております。自治体からコンビニまでの通信も暗号化され,専用回線を使用していますので,個人情報の漏洩はできないのではないかと思うわけでございます。 本市におきましては,コンビニ交付サービスを導入することで,利用者にとってはわざわざ市役所に出向かなくて済むようになります。また,窓口で閉庁時である早朝,深夜,6時半から23時や土曜,祭日でも証明書を取り扱いできる。市役所にとっても窓口が大変今混雑いたします。特に問題視されるのが駐車場の不足でございます。駐車場が混雑しており,車を置くのが大変なときに,車が出るのを待っていますとバックで出る方と接触事故等も私,発生しておるのを見ております。 このコンビニ交付が始まりますと,そういう部分では緩和につながるのではないかと,メリットは非常に多いのではないかと。以前,市民環境の窓口のアウトソーシングの案件が上がりましたが,この件につきましては,個人情報の漏洩の可能性があるということで議会で不採択になっております。確か私だけが賛成したように覚えているわけでございますが,コンビニでは,マルチコピー機を自分で操作するため情報漏洩の可能性を減らすことになるわけでございます。 コンビニ交付サービスを導入してはどうかと思うわけでございます。市民環境部長,お尋ねいたします。お願いいたします。 ○議長(村田宣雄君) 市民環境部長,山本桂樹君。 ◎市民環境部長(山本桂樹君) ご質問にお答えします。 議員ご指摘のとおり,繁忙期であります3月,4月や休日の翌日の窓口は混雑する傾向にございますし,駐車場も日頃からほぼ満車状態にあります。またコンビニ交付には,高齢者や機械の操作に不慣れな人などには抵抗感があることや,操作を間違えて不要な証明書を出力しても自己責任となってしまうといった,利用者からすればデメリットもございますが,個人情報保護の観点では,人の手を介さず,証明書等を取得できるという点では優れている部分もあると考えます。 これらのメリットも踏まえまして,コンビニ交付の導入について,検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。是非前向きに検討していただきたいと思うわけでございます。 続きまして,環境対策について質問いたします。 8月25日,台風15号が本市におきましても多大な被害をもたらしております。特に風倒木等の被害であります。市道,林道等に樹木が倒れ,通行ができなくなる箇所が多数あったわけでございます。市だけでは対応できないため,地域の区長さんはじめ役員の皆様方,地域の方と協力し合って,チェーンソーなどで通行できるようにして,その後トラック等で清掃センターに持って行ったわけであります。 今回の台風15号で発生した災害ごみの対応について,お聞きしたいと思います。 まず,どのような方法で回収したのか,市民に対する周知方法,そして発生した災害ごみの数量をお尋ねいたします。市民環境部長,お願いいたします。 ○議長(村田宣雄君) 市民環境部長,山本桂樹君。 ◎市民環境部長(山本桂樹君) ご質問にお答えいたします。 まず,8月25日の台風15号で発生しました災害ごみの回収の内容,方法についてでございますが,緊急を要しない場合は通常どおり,ごみ出しの日に指定ごみ袋に入れて,又は粗大ごみ処理券を貼って,地区のごみ置き場に出していただくようお知らせをいたしました。緊急を要する場合や木の幹など,収集しないごみについては,自分で又は業者に委託して宇土清掃センターに持ち込んでいただくようお知らせをいたしました。 清掃センターへの持ち込みの手順としましては,市環境交通課の窓口で処分料金の減免申請を行い,減免申請受付後コピーを受領し,清掃センターの窓口へ提出,搬入していただくよう,また,清掃センターの持ち込みの期間及び持ち込みの注意点も併せてお知らせをいたしました。 次に,市民の皆様への周知方法は,全嘱託員への通知や回覧,市ホームページ及びフェイスブックで2回行いました。1回目は8月28日に,ただいま申し上げました回収の内容,方法と,災害ごみの処分料金減免申請の受け付けを9月4日まで行いますという内容のお知らせでした。2回目は9月2日に,再度回収の内容・方法をお知らせするとともに,処分料金の減免申請の受け付けを9月18日まで延長しますという内容でお知らせを行いました。 次に,発生した災害ごみの総量につきましては161トンでございました。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。清掃センターへの持ち込み期間を1回目は8月25日から9月4日までの7日間でしたが,減免申請の受付を9月18日まで延長して頂きました。早急な状況判断をしていただき,市民の皆様からも「回収日を延長したことはありがたかった。」と話をする方もお聞きしております。今後も災害復旧等は,市民の皆様の協力・連携が重要であります。今後も連携強化に努めていただきたいと思うわけでございます。 次に,清掃センターへの不燃物の持ち込みが,緒方清掃へもできるようになった経過についてお尋ねします。市民環境部長,お願いします。 ○議長(村田宣雄君) 市民環境部長,山本桂樹君。 ◎市民環境部長(山本桂樹君) ご質問の不燃物持ち込みを宇土清掃センターだけでなく,緒方清掃でも取り扱うようになった経緯についてお答えします。 清掃センターの旧施設は,昭和54年12月に竣工し,平成10年度の新施設稼働後も粗大ごみ処理・不燃ごみ処理を行っていましたが,建設から30年以上経過し,旧施設は焼却炉以外が屋外式であったため,経年変化による鉄部の腐食や煙突のひび割れなどが確認され,倒壊の危険があったため,平成25年8月から平成26年4月までの工期で解体を行いました。 この旧施設解体に伴い粗大ごみ不燃物の処理については,民間に委託することになり,宇城広域連合が緒方清掃に業務委託したことにより,実際に旧施設の解体が始まった平成25年10月から,当時,既に建設・運用されていた現在の清掃センターへの持ち込みとともに,緒方清掃へも不燃物の持ち込みができるようになりました。なお,この清掃センターへ持ち込まれた不燃物については,現在も同様でございますが,緒方清掃が引き取りに来て処理するシステムになっております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。25年の10月から,当時既に建設,運用されていた新しい清掃センターへの持ち込みとともに,緒方清掃への不燃物の両方の持ち込みができるようになったということでありますが,実は10月19日には,地元の方から私に電話がありまして「清掃センターに不燃物を持って行ったが,不燃物は緒方清掃センターに持って行ってください。」と言われましたと。「議員が4月の地域での総会で話した内容と違う。どのようになっているのか。」とお電話をいただきました。私すぐに市民課に確認したところ,実は間違って,不燃物は緒方清掃センターへ持っていくようにと案内を行っていたということが,このときにわかったわけでございます。 この原因は何だったのか,その対処方法についてお尋ねいたします。環境部長お願いします。 ○議長(村田宣雄君) 市民環境部長,山本桂樹君。 ◎市民環境部長(山本桂樹君) ご質問にお答えいたします。 先ほどご説明しましたとおり,平成25年10月から宇土清掃センターと緒方清掃の両方に不燃物を持ち込めるようになりました。このときの不燃物の持ち込み先についての市の方針は,平成26年度までは清掃センターと緒方清掃の2箇所とすること。また,平成27年度からは,緒方清掃の1箇所とするというものでございました。この方針に基づき市民の皆様にもご案内しておりましたが,持ち込まれる方の利便性を考えると,平成27年度以降も引き続き,清掃センターと緒方清掃の両方に不燃物を持ち込めるようにしたほうが良いと判断しまして,平成26年10月に方針を転換いたしました。 ところが,その方針を転換したことについての連絡が,清掃センターへ十分に伝わっていなかったために,特に平成27年度に入ってからは,不燃物については緒方清掃にお持ち込みくださいと誤った案内を行っておりました。この誤った案内によって,市民の皆様に大変ご迷惑をお掛けしましたことを,この場をお借りしまして深くお詫び申し上げます。 今回,樫崎議員からのご指摘を受け,本市及び宇城広域連合の間で,不燃物は清掃センターと緒方清掃の2箇所で受け入れる。持ち込んでいただけるということを改めて確認をいたしました。また併せて,誤った取り扱いや案内が二度と起きないようにする対策として,ごみの持ち込み問い合わせに対し,本市及び清掃センター共通の案内マニュアルを作成し,市と清掃センターで齟齬なく正しく案内できるようにいたしました。この不燃物は,引き続き清掃センターと緒方清掃の2箇所で受け入れるということは,市ホームページにも既に掲載し,12月号の市広報紙にも掲載してお知らせすることにしております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。行き違い,連絡不十分ということで,このような間違いが起こったということでありますが,約半年間このような間違いが続いたわけで,私自身も迷惑したわけでございますが,一番迷惑を被ったのは市民の皆様でございます。今後このようなことがないようにしていただきたいと思います。それと12月の広報紙に掲載するということで,私としては地域の回覧板等にも載せていただきたいというように思うわけでございます。よろしくお願いいたします。 次に,このことも市民の方から要望があったわけでございますが,昼休みに市民の窓口では利用対応ができているのに,清掃センターには持ち込みがお昼にはできないようになっているが,お昼も対応していただきたいという要望を受けております。昼休みの時間の対応はどのようになっているのか,環境部長お尋ねいたします。 ○議長(村田宣雄君) 市民環境部長,山本桂樹君。 ◎市民環境部長(山本桂樹君) ご質問にお答えいたします。 宇城広域連合と協議を行いまして,この11月から,昼休み時間中に市民の方がごみを持ち込まれた場合は,受け入れということを確認をいたしております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。11月から市民の方のごみの持ち込みをされた場合,受け入れていただけるということになったということで,大変感謝申し上げます。 次に,宇土清掃センターは,法定耐用年数等で移転,又は建て替えの話が進んでいると思われます。現在の状況についてお尋ねしたいと思います。元松市長。 ○議長(村田宣雄君) 市長,元松茂樹君。 ◎市長(元松茂樹君) お答えをいたします。 清掃センターの建て替え及び移転についての件でございます。現在の清掃センターの施設は,平成10年,日量52トンを焼却可能な施設として稼働を始めております。建設当時は,宇土市と旧富合町の可燃ごみを焼却しておりましたが,平成25年度末,宇城広域連合から熊本市が離脱したため,現在は宇土市のみのごみ,日量30トン程度の焼却を行っている状況であります。 熊本市の離脱によりまして,平成26年度からこのセンターは宇土市単独で施設運営を行っておりまして,1市に1施設という非効率な運営になっている状況であることから,宇城クリーンセンターの統合,建て替えを待たずに,平成29年度頃から宇城市にあります宇城クリーンセンターにおいて,宇土市の可燃ごみ,不燃ごみを統合して処理できるよう調整を進めているところでございます。 宇城クリーンセンターの建て替えの計画でありますが,平成35年4月の稼働開始を目標として,現在,宇城市と美里町を候補地として,用地の選定を行っているところでございます。 以上です。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。平成26年度から宇土市単独での施設運営を行っており,非効率な運営になっていると,そういう状況から宇土クリーンセンターの統合,建て替えを待たずに,平成25年度頃から宇城市にあります宇城クリーンセンターにおいて,宇土市の可燃ごみ,不燃ごみを統合して処理できるように調整を進めているということでございますね。また,宇城クリーンセンターの建て替え計画でありますが,平成35年4月の稼働開始を目指して,現在,用地を選定して行っているというわけでございますね。 この件について,私のほうからお願いがございます。1点目が宇土清掃センターの移転が決まるまでは,当該の清掃センターと緒方清掃センターの現在の状況で運営,不燃物回収等を考えていただきたいということでございます。 あと2点目が,宇土清掃センターが移転後も中継地点として残していただきたいと思うわけでございます。この件について,元松市長お尋ねいたします。 ○議長(村田宣雄君) 市長,元松茂樹君。 ◎市長(元松茂樹君) ご質問にお答えをいたします。 まず,要望ということでございましたけれども,宇土清掃センターの移転が決まって統合するまで,現在の清掃センターと委託業者の両方に持ち込みできる形での運営を考えております。 次に,センター移転後の話ですけれども,移転後も中継基地として残すかについてですけれども,現在,宇城クリーンセンターと宇土清掃センターのごみの取り扱い,処理方法も実は異なっておりまして,いろいろな調整が必要となります。そこで,最終的にどういう形になるかというのは,まだ明確ではございません。そういうこともあって中継地点として残すのかどうか,正式に決定しているわけではございません。ただ,できる限り住民の皆さんの利便性は損なわないように配慮していきたいと考えているところでございます。 以上です。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。宇土清掃センターの移転が決まって,統合するまで現状のままで清掃センターと委託業者の両方に持ち込みができる形で,運用を考えているということ。これも市民の皆さんも喜ばれることだと思います。また,清掃センターの移転後の中継地点として残すかについては,住民の利便性を損なわないように配慮して,是非検討していただきたいと思うわけでございます。 次の質問でございます。弱者解雇における尊厳の保持と自立心についての質問でございます。 私自身が弱者高齢者の尊厳は何かと聞かれた場合,私的にはどのような認知が進んでいようと,話ができなかろうと,自分より長く人生を歩んでいらっしゃった方が,懸命に生きている方に対して介護してあげるのではなくて,人生を支えるお手伝いをさせていただくという気持ちを持って,どんな状態にあっても人として尊重される生活支援のお手伝いをすることが,弱者,高齢者の尊厳を守るということではなかろうかと思っております。 今日,超高齢者社会時代に突入しております。これは誰もが経験したことがない,超高齢者社会にどう対応するか。これは当然,本市にとっても重要課題であるわけでございます。ひとり暮らしの高齢者のみの増加や,認知症の方の増加を踏まえた生活支援サービスも始まっており,介護サービスの強化基盤のための介護保険等の一部を改正する法律が施行され,高齢者が地域で自立した生活が送れるような医療,介護,予防,住まい,生活支援サービスが切れ目なく提供されていると思うわけでございます。 ただ,そういう状況の中でもいろんな問題が出てきております。介護保険の切り上げ,また,今年度4月1日に改定された介護報酬が適用となり,今後は介護サービスを利用する要介護者,介護事業者など,様々なところで大きな影響が出てきてると思うわけでございます。 特に懸念されているのが,マイナス2.27%になった介護報酬減によって,介護事業所の収入源,ひいては介護職員の給料ダウンの可能性も指摘されています。それだけではまだしも,それによる介護サービスの質の低下や,介護職員の人材確保難とか,様々な問題が発生することもあり得ると。この影響はかなりの広範にわたると,私は考えております。 実はこういう事件が起こっております。先月,埼玉県熊谷市で起こったことでございます。生活苦や母への介護疲れで無理心中を図ったことが新聞等で報道されております。このようなことは決して起こってはならないんですけど,毎回そういう新聞等の報道があっております。このような生活苦や介護疲れで起きる事件は後を絶ちませんが,本市ではこのようなことはあっておりませんが,対策とか対応についてお尋ねしたいと思います。健康福祉部長,お尋ねいたします。 ○議長(村田宣雄君) 健康福祉部長,那須大和君。 ◎健康福祉部長(那須大和君) 生活苦や介護疲れによる自殺防止等への本市の対応についてお答えをいたします。 生活に困りごとや不安を抱え,様々な理由で自立した生活が送れなくある人たちの相談窓口として,平成27年4月から生活困窮者自立支援法に基づく相談窓口「うと自立センター」を市社会福祉協議会へ委託して開設をしております。 うと自立相談センターでは,専任の相談支援員が相談を受けて,どのような支援が必要かを相談者と一緒に考え,具体的な支援プランを作成し,関係機関や関係部署と連携を取って,相談者に寄り添いながら自立に向けた支援を行います。 うと自立相談センターでの平成27年4月から10月までの実績ですが,新規相談27件,うちプラン策定12件です。相談内容は,家計全般に関する相談や就労に関する相談,健康や障害に関する相談が多く,相談者は複数の課題を抱えているという特徴があります。また,経済的に自立した生活ができなくなった人には,従来どおり生活保護制度で必要な保護を行い,最低限度の生活を保障するとともに,自立を支援いたします。これらの事業を適切に実施することが,生活に困窮した人の自殺防止に寄与するものと考えています。 次に,介護者に対するケアにつきましては,介護を必要とする方が必要なサービスを受けられるようにすることはもちろん,介護をしている方に対しても頑張りすぎないようなケアを地域包括支援センターで行っており,必要に応じて熊本県認知症コールセンターと関係機関との連携を取りながら,悩みの解決につながるお手伝いをしております。また,地域包括支援センターとの協力機関との共催で,「介護者のつどい」を開催し,日頃の介護でわからないことや困っていることなど,同じ悩みを抱えている方,経験を持つ方同士が交流していただける場を設けております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。是非今後も,連携強化に力を入れていただきたいと思うわけでございます。よろしくお願いします。 最後の質問でございます。これは私事ですが,先月,介護福祉士の資格を取るために,介護技術試験を受けてまいりました。尊厳に関しますのでお話をさせていただきます。この試験内容は左麻痺左空間無視の方をベッドから車いすに移乗,介助する試験でありました。ベッドから立ち上がるときに臀部を少しずらしまして,右手で車いすのアームを持っていただき,私自身の右手を背中に当てて,左手を左膝に手を添えて,1,2の3で立ち上がり,健側の足を軸に回転させて座っていただくというような試験でございましたけど,私はここで実は大きなミスをしてしまったわけでございます。実は1,2,3で立ち上がる介助ではなくて,私はよく腰が悪いので「よいしょ」という言葉を言ってしまうわけです。すぐ注意を受けました。ただ私,注意されても「よいしょ」がなぜ悪いのか,全く気付かなかった,そのときは。ただやはり,「よいしょ」という言葉は荷物を持ち上げるときに「よいしょ」と声を掛けます。人にそういうことをしていいのかという尊厳の違いでございます。ちょっとしたことですけどね,自分自身がはっと気づき,自分の無知に恥ずかしくなったわけでございます。 また,拘束等も尊厳の無視となるわけでございます。歩行が困難で転倒の危険性がある方でも,ベッドから起き上がることができる方は,柵で囲むことは身体拘束になります。これは尊厳の無視になるわけですね。身体拘束のやむを得ない拘束は,切迫性や肥大性,一時性の3つの要件が全て満たした場合のみできるわけでございます。 実はニュース等で,今年の6月に東京都墨田区の公衆浴場で,身体障がい者を対象とした家族風呂,これは個人風呂でございますよね,始めたところ,思わぬ問題が浮上しております。公衆浴場に関する区の条例で,夫婦,親子でもどちらかが10歳以上の場合,男女の混浴ができないと。介助者はどうしないといけないかというと,異性の場合は着衣,服を着て障がい者にとって家族水入らずの入浴は楽しめないということが起きております。このニュースを見て私,大変驚いたわけでございます。 この公衆浴場基本条例は,県ごとでありますが,熊本県がどのような条例になっているのか,また各都道府県における公衆浴場に関する条例等はどのようになっているのか,お尋ねしたいと思います。健康福祉部長,お願いいたします。 ○議長(村田宣雄君) 健康福祉部長,那須大和君。 ◎健康福祉部長(那須大和君) 各都道府県における公衆浴場に関する条例等について,お答えをいたします。 まず熊本県では,公衆浴場について,換気,採光,照明,保温及び清潔,その他入浴者の衛生及び風紀に必要な基準を県公衆浴場基準条例で定めております。この条例では,8歳以上の男女を混浴させてはいけないとなっておりますので,介助が目的のものであっても,8歳以上の男女が一緒に公衆浴場に入浴することを禁じております。また県は,家族風呂に関しては,この公衆浴場基準条例の趣旨とは異なるということで,例外的に明文化をせずに家族風呂を認めているところでございます。 全国の他の都道府県の状況といたしましては,年齢による例外は,6歳以下から12歳未満とまちまちでございますが,家族風呂については,熊本県と同様に,明文化せずに例外的に認めている自治体が多い状況でございます。 そのような中,大阪府では2005年に浴場経営許可基準を定め,「同一世帯に属する者」又は「介護を要する者及びその者を介護する者」を,温湯等を使用する個室を貸し切って入浴させる場合に限るという除外規定を明記しております。また兵庫県では,2008年に条例改正を行い,家族風呂において占用で利用する場合は,「夫婦」,「親とその10歳未満の子」,「介助を要する者のための家族」の場合に限り,混浴の禁止を解除する旨の規定を設けております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。熊本県公衆浴場基準条例では,混浴可能な年齢制限は8歳未満として,家族風呂に関しては明文化せずに例外的に認めていると。宇土市にはあじさいの湯がありますが,家族風呂はありませんが,宇城市,熊本市には家族風呂に行って,利用する方も多いです。介助される方の尊厳を守るためにも,条例等による除外規定や明文化が必要ではないかと思うわけでございますが,元松市長にこの件についてお伺いしたいと思います。お願いします。 ○議長(村田宣雄君) 市長,元松茂樹君。 ◎市長(元松茂樹君) お答えをいたします。 県の公衆浴場基準条例というのがありまして,この中に「介助を要する者のための家族の混浴」の例外規定を設けるようにしてはどうかというような意味合いであろうかと思います。県の条例ですので,もちろんうちで改正できるわけではございませんが,そういう要望してはどうかというような内容だと判断をいたしております。 今,樫崎議員からもお話がありましたとおり,宇土市には家族風呂というものがございません。あじさいの湯には家族風呂は設置されておりませんで,ただ,宇城市不知火町のロマンの湯には家族風呂はあるようでございまして,民間の施設では結構設置しているところが多いというところで判断をしております。 要望についてなんですけれども,まずこの明文化していない理由が何かあるのかなというのがちょっとわからないんですけれども,一般論的にお話をさせていただきますと,市から県に対しての要望というのはたくさんございます。今日午前中,話がありました,先ほど議員一般質問でもございました網津川の要望であったり,福祉関係でもいろんな要望をしているわけですが,実際に家族風呂がない自治体がこのことを要望するというのは,非常にハードルとしていかがかなという思いがあります。ただですね,先ほどから出ておりますとおり,介助される者の尊厳を守るという意味ではですね,人道的な面でこれは必要ではないかなというところは私も同感でございます。 そこでですね,熊本県に熊本県温泉協会というのがございます。これは温泉を持っている自治体あるいは民間の温泉施設等で構成している協会でございますが,それの宇城上益城支部というところがございます。宇城地域と上益城地域両エリアの施設で作る温泉協会というのがございまして,宇城上益城支部の協会長,支部長を私がしております。会議とかも実はあるんですけれども,まずですね,そういった会議で民間の施設もございます。家族風呂をお持ちのところもございますので,問題提起をさせていただきたいと思っています。その上でこれが必要だと,あったほうがいいぞというような内容であるならば,県の協会に対して上申をして,県の協会から県に対して要望をしてもらうというようなことにできればなと考えているところでございます。 以上です。 ○議長(村田宣雄君) 樫崎政治君。 ◆9番(樫崎政治君) ありがとうございます。この熊本県は福祉介護に力を入れている県でございます。認知症サポーター制度の登録も2連続,率としましては全国で1番でございます。是非ですね,こういう部分で目に見えない部分,気づかない部分もやっぱり市民の皆様方に気づいていただきたいと思って,今回この件も挙げさせていただきました。本当に尊厳を守るということは大事なことでございます。今後ともですね,私も介護とか福祉にも力を入れて,議会活動を頑張っていきたいと思っております。 以上をもちまして,質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。 ○議長(村田宣雄君) それでは,ただいまより昼食のため休憩をいたします。午後1時から会議を開きます。             -------○-------                午前11時48分休憩                午後1時00分再開             -------○------- ○議長(村田宣雄君) それでは,午前中に引き続き会議を開きます。質疑並びに一般質問を続行します。7番,柴田正樹君。 ◆7番(柴田正樹君) 皆さん,こんにちは。うと・しせい会の柴田正樹でございます。本日は防災行政無線と宇土市の社会科教育について2問質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○議長(村田宣雄君) 柴田正樹君。 ◆7番(柴田正樹君) まず防災行政無線デジタル化について質問いたします。 本市では,アナログの防災行政無線が全域に設置されてあります。そして今年,老朽化に伴い,併せてデジタル化にするということでございますが,その実施計画の委託業務が昨年指名入札により落札されております。その入札に対する仕様などの内容について,総務部長,教えてください。 ○議長(村田宣雄君) 総務部長,益田輝明君。 ◎総務部長(益田輝明君) 宇土市防災行政無線デジタル化整備工事に伴う調査設計業務について,柴田議員からのご質問にお答えいたします。 現在運用しておりますアナログ式の防災行政無線におきましては,平成8年度から平成10年度までの3カ年で整備を行い,約18年が経過しております。修繕等におきましても交換する部品の製造が行われなくなっており,非常に苦慮している状況でございます。また,生活環境の変化,これは分譲住宅の開発等を含みますが,伝搬状況が非常に大きく変わってきております。 防災行政無線につきましては,市民の生命・身体及び財産を災害から保護することを主たる目的とした最も有効な伝達手段ですので,常に万全な状態を保持し,必要な情報をいち早く伝えることが重要です。 そこで,現在の自然条件及び環境を十分考慮し,将来の社会情勢の変化に対応できるよう,平成26年度に防災行政無線のデジタル化整備工事に伴う調査・設計業務を行っております。主な業務内容としましては,詳細な電波伝搬調査,現地調査等を実施し,既設設備の再利用と子局の適正配置の検討を行うとともに,難聴地域の解消を考慮する調査設計を実施し,机上設計,伝搬調査,現地調査及び設計書の作成等を行っております。 また,指名競争入札により実施しました委託業務につきましては,入札参加業者が6社,予算額が1,009万1千円に対し,落札額は324万円でフコク電工株式会社が落札し,設計書等の納品を行っています。 ○議長(村田宣雄君) 柴田正樹君。 ◆7番(柴田正樹君) ただいまの答弁で,実施設計の委託業務が324万円で落札されたとのことでありますが,今議会において予定価格1億5千万円以上の工事の請負に関する契約は,議会の議決が必要とのことで,「宇土市防災行政無線デジタル化整備工事請負契約の締結について」という議案が挙がってきております。 それには契約の方法として随意契約,入札方法として公募型によるプロポーザル方式が採られ,契約金額が4億3,740万円とのことでありますが,先ほど答弁でもあったように昨年,実施設計が発注されております。 実施設計とは,基本設計に基づいて工事の実施及び工事の内訳明細書の作成ができる段階まで設計図書を明細化する設計作業であり,これによって競争入札が行われるものだと今まで私は理解しておりました。それが今回,実施設計まで終わった段階で,そこからプロポーザル方式が採用されたということはどうしても理解ができません。 そこで,プロポーザル方式で業者の選定を行おうとした理由,それから実施設計の324万円,これは何のために使われたかを教えてください。 ○議長(村田宣雄君) 総務部長,益田輝明君。 ◎総務部長(益田輝明君) プロポーザル提案型方式にて業者選定を行った理由につきまして,お答えいたします。 防災行政無線は,市民の生命と財産を守る上で必要不可欠な伝達手段であり,安心して契約できる業者を選定する必要があります。本体工事に係る経費は設計委託料含めて,緊急減災防災事業債,これは算入率100%,交付税率70%を活用して行いますが,施工後20年程度の運用に伴う保守点検業務は,補助金等の優遇措置はなく,市単独での予算が必要となります。 この保守点検業務に係る委託料は,施工した業者と随意で契約することになりますが,委託料については明確な規定がなく,業者の提案する金額で契約することとなり,多額の費用になることが懸念されます。また,メンテナンスにつきましては,提案型の入札を行うことで部品の調達や修理の有償・無償等の期間等が把握できます。 今回,プロポーザルを行った防災行政無線デジタル化整備工事につきましては,必要最小限での仕様であり,防災行政無線を施工するに当たり予算の範囲内で,より良いシステム,オプション機能を含みます提案がなされることが期待でき,さらにオプション機能については,設計段階ではなく提案型を採用したことで,本市に最適なものの中から選定することが可能になります。システムの内容や操作卓の仕様につきましても,事前に操作面等を確認することができますので,操作する職員への負担軽減にもつながります。 また,電波利用の方針としましては,国の方針として今後の高度化社会に対応するために,消防署の防災無線におきましては,平成28年度までに全ての無線をデジタル方式に変更するよう通達がなされており,いずれは市町村の防災行政無線のデジタル化が義務化されることが予想されることから,有利な財源,緊急防災減災事業債,これは平成28年度まで活用ができますので,この時期に実施するものでございます。 防災行政無線は,市民の生命,身体及び財産を守る重要なシステムであり,長期間運用しますので,金額が安いから良いではなく,より良いシステムで,より高度なオプション機能を併せ持つ機種を提案していただき,最良のシステムと契約できることが最善の方法と考えます。 以上のことからプロポーザル方式提案型を採用しました。なお,プロポーザル方式での募集に伴い作成しました実施要領及び水準書におきましては,昨年度に作成しました実施設計書を基に,プロポーザル方式に適したものに一部変更して作成したものであり,電波調査の資料,経費積算等はそのまま利用しております。プロポーザル方式での募集においても,施工を行う上で,詳細な電波調査のデータを把握しておくことが必要であり,調査・設計業務委託は必ず実施しなければならないものです。 ○議長(村田宣雄君) 柴田正樹君。 ◆7番(柴田正樹君) ただいまの答弁で,安心して契約ができる業者を選定する必要があるとのことで,プロポーザル方式をしたということでありますが,プロポーザル方式を採用するか,競争入札方式を採用するかは,当然当初の段階で決めておくべきであり,最初からプロポーザル方式により業者を選定するということがわかっていれば,調査業務だけを最初に委託すればよかったわけであります。このような大きな事業をいきあたりばったりの計画で進めるようなことがあってはならないと,私は思っております。 次に,プロポーザルの参加資格についてですが,本市の実施要領の参加資格は,デジタル防災行政無線の機器製造者又は同製造者の関係する会社であることとうたってありますが,その要件を満たす業者は,宇土市には1件もありません。全国を見ても今回の参加資格にそぐう製造メーカーは8社しかなく,そして,そのうちの5社は談合を繰り返した疑いがあるということで,朝日新聞の記事によりますと,公正取引委員会は独占禁止法違反の疑いで,機器メーカー5社の本社や営業所に立ち入り検査に入ったということであります。 今回,本市のプロポーザルにその中の4社も参加し,落札者はその中の1社であったということは当然ご存じかと思います。安心して契約できる業者を選定する必要があるのであれば,どうしてそのような参加資格を定めたのか,他の自治体の契約状況を見てみますと,もっとハードルを下げて多くの業者が参加できるようにしています。宇土市でもそのような配慮をし,多くの業者に競争させ,その中で一番優れたものを選ぶべきではなかったかと思うところでございます。 また,この点につきましては,以前私の一般質問でも質問し,お願いしていますけれども,地元企業の育成,又は地元に金を落とすという点からも地元企業とのジョイントベンチャー(JV)方式が採用できるのであればするべきではなかったかと思いますが,この点について総務部長お答えください。 ○議長(村田宣雄君) 総務部長,益田輝明君。 ◎総務部長(益田輝明君) 業者選定においての地元企業の関わりにつきまして,お答えをいたします。 先ほどの答弁でもお答えしましたが,防災行政無線は,市民の生命,身体及び財産を守る上で非常に重要な伝達手段であり,施工後は20年程度の運用が考えられます。そのため,安定した部品の調達や修理が不可欠になりますので,自社製品を保有し,施工を行うことが最善の方法と考えます。 JV(ジョイントベンチャー)等についても検討をしましたが,国土交通省の共同企業体運用規則によりますと,構成員の資格について「a,当該工事に対応する許可業種につき営業年数が少なくとも数年あること。b,当該工事を構成する一部の工種を含む工事について,元請けとして一定の実績があり,当該工事と同種の工事を施工した経験があること」と規定されており,宇土市内では該当する事業所はありませんでした。 また,提案書を提出していただく条件としまして「有資格者や無線の免許等を有し,施工ができること。より確実に施工を行うため,同規模以上の施工を行っていること。経営事項審査の点数が1,400点以上であること」等の条件を設けて,より安心して施工を行える企業に限定をいたしました。 ただし,保守の協力体制,戸別受信器の設置等,市内業者でもできるものについては,できる限り参加していただけるように,プロポーザル方式の選定に係る評価基準におきまして,地元企業に考慮しているか,これを重要な評価点数として反映させて選定を行っております。 ○議長(村田宣雄君) 柴田正樹君。 ◆7番(柴田正樹君) ただいまの答弁でJVの資格を持つ地元企業はないということでございますが,私が国土交通省の建設業課に電話で問い合わせたところ,この共同企業体運用準則は,あくまで国が定めた基本方針であり,このようにやらなければならないというものではない。JVを組む構成員の資格は,各自治体が決めていいということでございました。他の自治体を見ても地元企業がJVを組んで施工しているところが幾つもあります。別の考え方をしても,今回の税抜き予定価格約4億4,000万のうち約3億4,033万が機械に係る費用であり,残り約7,266万円が直接工事費で,約2,680万円が管理費などの間接工事費となっております。この部分を切り分けて,直接工事費だけでも地元企業の参加できる方法があったのではないかと思うところでございます。 先ほどの答弁で「金額が安いから良いのではなく,最良のものを契約できるものが最善の方法と考えます。」という答弁がありましたが,是非この姿勢を入札制度にも取り入れていただき,誤解のない最良の入札制度を行っていただきたいというふうに思っております。 次に,宇土市立中学校の社会科教育について質問させていただきます。 2015年施行の地方教育行政法の改正により,教育と委員を当該自治体の首長が任命することになり,教育委員長職は廃止されました。改正以前に教育委員長が行っていた業務は,教育長が行うこととなり,また教育長の任期は3年,委員の任期は4年に変更されました。これまでは教育に政治的な中立性が求められるため,あまり首長が口出しすべきではないという考えが少なくありませんでしたが,新制度では,各自治体に首長と新教育長,新教育委員長,教育委員らが教育施策について議論する総合教育会議の設置が義務付けられ,教育の目標などの大綱についてもここで調整し,首長が策定するようになります。 これにより宇土市でも,今年の10月に教育委員長のポストが廃止され,新しい教育長に太田教育長が元松市長より任命され就任されました。我々も議会で太田教育長の実績,経歴などを見て,申し分ないと思い承認しましたが,その経歴書では,太田教育長の教育観や国家観等を知ることができませんでしたので,今回,学校教育,中でも子ども達の国家観や思想に将来大きな影響を与える社会科教育,それを指導する教育長へ,歴史的分野と公民的分野から歴史認識と憲法改正の質問をさせていただきます。 今年の10月9日,ユネスコが1937年に起こったとされる南京事件に関する資料を世界記憶遺産に登録しました。この事件の実態については,日本,中国両国において様々な見解があり,今日でも論争が続いている中,当事国の片方である中国の一方的な言い分のまま登録されたということは,日本人として許し難いことであり,認めるわけにはいきません。 その頃の世界,その中の日本,そしてその頃の戦争を語るには,とても複雑で多面的過ぎるため,詳しく細部までお聞きすることは難しいですが,ここではこの戦争の突入から終戦後までの経緯,満州事変から日中戦争,そして日米間の戦争,そして終戦を迎え東京裁判で日本が裁かれるまで,これについて日本の行動をどう認識されているか。私も戦争そのものは愚かな行為であるということは重々理解しておりますが,これはどういう意味の戦争だったと理解されているか,当時の世界の時代背景も踏まえてお答えください。また,先ほど申しました南京事件についても,どういう認識を持たれているか,教育長お答えください。 ○議長(村田宣雄君) 教育長,太田耕幸君。 ◎教育長(太田耕幸君) お尋ねの歴史認識について,お答えいたします。 歴史認識につきましては,将来の国家,社会の形成者となる子ども達が,日本人として我が国の有史以来の歴史について系統的に学ぶとともに,歴史上の1つ1つの重要な事象について調べ,考え,判断することを積み重ねる中で歴史観が培われ,ひいては日本人としての自覚や誇りが育まれていくものと考えます。 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に,議員が質問の中で挙げられた事件が登録されたことについては承知いたしております。かねてから日中両国間で見解に相違があった中で,ユネスコが登録を決定したものです。日本側の不服については,国際法及び国際慣習に則って主張することが重要と考えます。したがって個々の歴史事象については,国レベルあるいは専門家レベルでの話し合いなどにより,史実に基づき学問的に明らかにされることが重要と考えます。 また,議員が質問されている昭和初期からの歴史的事象に関しても,1つに,その歴史的事象がなぜ起きたのかなどについて,国内外の背景も含め系統的,総合的に考えること。2つに,歴史的事象を学ぶ課程において,日本人として先人が成し遂げた誇りとすべき歴史的な偉業については自信を持ち,一方,反省すべき歴史的事象については,謙虚に反省しながらも長年にわたり築き上げられてきた郷土や我が国の歴史,文化や伝統に対する理解と愛情を深めること。3つに,国際社会に生きる日本人としての自覚と誇り,これが削がれることなく未来的思考に希望を持っていけることが重要であると認識しているところであります。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 柴田正樹君。 ◆7番(柴田正樹君) 今年の9月19日,参議院本会議で自民,公明両党などの賛成多数で安全保障関連法が可決され,成立しました。これにより集団的自衛権が認められ,さらに日米安全保障の強化により,自国防衛について抑止力が高まったと考えますが,現在の日本では憲法の改正は非常にハードルが高く,このように憲法の解釈でしか今のところ法整備ができていない状況にあります。 現在の日本国憲法は,日本を統治下においたGHQが占領目的達成のための手段の1つとして,アメリカ人の手によりわずか1週間で作られ,1947年(昭和22年)5月3日に施行されました。以来,約70年間,一度の改正もなく今日に至っていますが,我が国をめぐる国内外の情勢,例えば国際的なテロへの対応,近隣諸国への対応,一票の格差や災害や環境に対する憲法がないことなど大きく変化しております。 現在,世界で成文憲法を188の国が保有しております。その中で日本国憲法は14番目に古い憲法であり,日本より古い憲法を持つ13カ国では,今まで憲法改正が行われておりますが,日本国憲法は一度も改正されておりません。現在では,その時代の情勢や環境などに合わせて憲法は改正していくべきだという議論も多く聞かれます。このことについて教育長はどうお考えですか。 ○議長(村田宣雄君) 教育長,太田耕幸君。 ◎教育長(太田耕幸君) 憲法改正についてお答えいたします。 我が国は戦後,日本国憲法の平和理念に基づき,次の世代,平和な国を引き継ぐため努力してまいりました。憲法はその前文において,恒久平和への崇高な理想と強い決意を掲げており,そのため改正には,憲法第96条第1項に「衆参各議員の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し,国民投票の過半数の賛成を必要とする。」と規定されており,世界でも改正が極めて困難な憲法となっております。 現在も,今後においても,今までの外交施策の積み上げた実績を基に,憲法を遵守することは普遍であると理解しております。しかしながら,社会状況が大きく変化している中,国際社会への貢献の在り方も環境問題,高度情報化による人権問題などと併せまして,憲法制定当時とは,予測できないほど変化あるいは課題も多く出てきている状況であることはご承知のとおりであります。 そのために,国の将来を見据え,どうするべきか,どう考えていくべきかというような議論をすることは必要であると考えておりますし,このような議論の中で,戦後歩み続けたこの国の将来の方向が誤ることのないよう,また国際社会の中における我が国の在り方,あるいは国際貢献への在り方について,十分な議論をしていかなければならないと考えます。 憲法の改正についての議論があることもよく承知しております。日本国憲法に規定されている日本国憲法の改正に関する手続きを内容とする「日本国憲法の改正手続きに関する法律(憲法改正国民投票法)」が平成22年5月に施行されました。そのため改正する場合は,その手続きを踏まえて行うものと考えます。 なお,憲法改正に対する教育長としての見解につきましては,教育の中立性の立場からご理解いただきたいと考えます。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 柴田正樹君。 ◆7番(柴田正樹君) 現在,最も世間で議論の分かれる問題を歴史的分野から昭和に起こった戦争前後の認識,公民的分野から憲法改正について質問させていただきました。 教育長の答弁で,教育長は教育の中立性の立場から1問目も2問目も答弁がなかなかしづらいということで理解しましたけれども,その教育長を任命された元松市長,政治家として今の質問に対して考えをお聞かせください。 ○議長(村田宣雄君) 市長,元松茂樹君。 ◎市長(元松茂樹君) 歴史認識と憲法改正ということで,少し長くなりますがお許しをいただきたいと思います。 まず,歴史認識を語る前に,私の戦争に対する思いを少しお話させていただきます。私は戦争が終わって20年後に生まれた戦争を知らない世代になります。ただ我が家は祖父が昭和20年フィリピンで戦死をしております。当時まだ幼かった私の父も含む4人の子どもを抱え,若くして連れ合いを亡くした祖母は,非常に苦労をして生活をしてきたと聞いております。私の父たちも子どもになりますけれども,子ども4人は幼い頃から家計を支えるために,家業である農業の手伝いをずっとして,懸命に祖母を支えて生きてきたということです。私が生まれてきて,私もばあちゃん子だったものですから,ばあちゃんとは非常に仲が良かったです。毎年戦没者慰霊祭があっておりましたが,物心ついたころから毎年,小学校を卒業するまで,私はこの慰霊祭に祖母と一緒に参加をしておりました。子どもながらに非常に戦争に関しては興味があったのは事実でございました。それで祖母に,一番家で年寄りですから,祖母に戦争のことを聞くんですけども,話をすると祖母は黙って答えないんですね。とにかく話したがらなかったことを思い出します。そういうこともあって,小学生ぐらいの頃から私,図書館に行って,戦争の頃の本を読みあさったという記憶がございます。世の中が高度成長期を迎えて,日本が非常に活気づく時代になっても,我が家ではこの戦争は色濃く,戦争の影が残っていたという思いがします。 数年前,祖母が亡くなりまして,遺品を整理したところ,祖父が戦地から祖母に向けて送ったハガキがあることを初めて知りました。これは祖母がなおしてたんですけれども,そのハガキには,子どもたち4人への気遣い,そして家業である田植えのことなど,こと細かく小さなハガキですけども,小さな文字で精いっぱい文字を並べて,びっしりと書かれておりました。5,6年前の話なんですけども,私45歳くらいになっていたんですけども,それを見て涙が止まりませんでした。45になって初めて祖母のつらさがやっとわかったような気がした。これが私のそれまでの経験でございます。 今,申しましたように,戦争の悲惨さは直接私は知りません。しかしながら,家族の状況ですとか,祖父の死ですとかそういったことがありまして,同世代の人間の中では,少なくとも戦争だけは起こしてはならないという気持ちを強く持っている一人だと思っております。 とはいえ,最近の世界情勢を見てみますと,きれいごとで済む時代ではないということも実感をしてきております。戦争に突入しないためには,戦争に巻き込まれないためには,日本が持つ力,あるいは友好国との連携など,戦争抑止力をどう生かしていくかが,現代における日本の最大のテーマだと考えております。 前置きが長くなりましたが,改めて私の歴史認識についてお話をさせていただきます。長い鎖国の時代があった日本でございますけれども,明治になって急激に近代国家として脱皮をしてまいりました。日清・日露戦争でも戦勝国となりまして,極東の小さな島国という世界の評価が一変しまして,国際的にも非常に注意が必要な新興国というイメージに変わってきたのかなという印象です。 当時の日本は,急激な経済成長をしていますが,島国ということもありまして,天然資源に乏しく国益を守るために,資源を求めて海外進出をはじめたと。当時のアジアは欧米列強による植民地となっている部分が非常に多くて,日本からすると,日本側の大義でいきますと,アジアを解放するんだという大義があったと。この大義を掲げての海外進出だったと思います。 一方で,植民地を支配する側に当たります欧米からすれば,自国の利益の侵害になりますので,日本の侵略として受け止められたということは,これは仕方がないことかなと思います。結果として戦争に突き進んだわけですが,欧米からすれば目障りな日本を戦争に追い込んだという見方もできるのかなという思いもあります。 結果として日本は,この太平洋戦争で敗戦国となりました。勝てば官軍,負ければ賊軍という言葉がありますように,いつの時代も歴史というものは勝者の立場で書かれます。一般的に好ましくないという行いがあったとします。その行いが勝者が行った行いであれば認めて,敗者が行った行いであれば誇大に批判をされる。前者の代表が原爆投下,あるいはシベリア抑留だと思いますし,後者が南京事件だと思っております。この南京事件についてもいろいろな動きがあっております。先ほど申されたとおりでございます。民族同士が感情論でぶつかっても,何も解決しません。これ立場が違います。そういうことで相当時間はかかるんですけれども,国際的に理解してもらえるような冷静な歴史研究を積み重ねるしか,これは解決の手段はないというのが私の思いでございます。 続きまして,憲法改正についてお話をさせていただきます。憲法が誰の手で作られたか,いつできたか,これは別としまして,戦後の日本の復興発展はこの憲法の下で行われたものでございます。そういう意味でも私は世界に誇れる憲法だと思っています。 しかしながら,先ほどから議員から話があっておりますとおり,戦後70年近くが経過し,憲法制定から70年近くになります。その間,一度も見直されていない。特に憲法9条と自衛権の問題などにおいては,時代と憲法の条文と相当の齟齬が出てきているように感じるのも事実でございます。この部分で申しますと,憲法を制定した当時,想定しなかった国際情勢に今はなっている。これが今の一番の問題になっているのかなと感じております。 もちろんこれを改正するとなりましても,96条の制限がございます。96条によりまして,簡単には改正できない大きなハードルがあるわけですけれども,この憲法9条と集団的自衛権等の問題に関しましては,解釈変更で対応するにはもう限界がきているのかなということを,今回の9月の国会のときもそう感じたところでございます。そういう意味では,やはり国民の意見を聞いて見直すべきところは見直す。これは全てを見直すという意味ではございませんけれども,齟齬がある部分については,やはり国民の民意を諮って見直す必要があるのかなという思いはあります。 ただ先ほども申しておりますとおり,国会で3分の2以上の賛成がないと,民意を推し測るための国民投票自体ができません。そう考えれば,今,改正に対して賛成,反対とどんなに議論をしても解決策にはならないと思うんです。唯一できるとするならば,国会の衆議院の選挙,あるいは参議院の選挙等の際に,この憲法改正,全部を改正するとかいう話ではなくて,部分的にこういうところはこう変えたほうがいいんだという,そういう憲法改正等を唯一無二のテーマとして選挙が実施されるならば,その結果を基に国会議員の皆さんも,国民の民意に従って改正,賛成,反対という表現ができるのかなと思います。それ以外,現状ではこれを解決する道はないような気がしております。 以上です。 ○議長(村田宣雄君) 柴田正樹君。 ◆7番(柴田正樹君) しっかりとした答弁をいただいて本当にありがとうございます。今回答弁書を前もっていただいてなかったものですから,教育長がこれまでのように教育委員から互選で選ばれるのであれば,議会からこういった内容の質問は出ないのかもしれませんけれども,市長が教育長を任命するとなると,その教育長はどんな歴史観をお持ちなのか,そしてどんな思想の持ち主なのか,市長はどういった基準で教育長を任命されているかなど,当然議会のチェックは厳しくなるべきだというふうに思っております。 ただいま市長の答弁をいただきましたが,市長が教育長を任命するということは,市長と教育長の思想は共通のものだと思っていいんですかね。今回,答弁書をいただいておりませんでしたので,この答弁を受けてもう一度次の機会に改めて質問させていただきたいというふうに思っております。 最後に,中学校の社会科教科書についてお聞きします。 今年の8月に28年度から32年度まで使用される宇土市立中学校の教科書が採択され,先ほど質問した歴史と公民の分野では,引き続き東京書籍の教科書が使われることになりました。この教科書においても,子ども達の将来の思想にかなり大きな影響を及ぼすものであります。もちろん採択される教科書は,文部科学省検定を通過したものの中から採択されるわけですが,平成18年に改正された教育基本法第1章の教育の目的及び理念の2条に「わが国と郷土を愛する態度を養うこと」とあり,また現行学習指導要領の第2章,歴史的分野の目標に「わが国の歴史に対する愛情を深め,国民としての自覚を育てる公民的分野にも自国を愛し,その平和と反映を図ることが大切であることを自覚させる。」とあります。 今年8月にも私,教科書の展示会に行ってきました。その後,展示してあった歴史と公民の教科書全ての出版社の教科書を買いそろえて読み比べてみましたが,より教育基本法や学習指導要領に沿った教科書があるように思います。 学校で使用されている教科書は,どういった方法で採択されているのか,そしてその際,教育長はどういう権限があるのか,そしてこの教科書は教育基本法や学習指導要領,そして教育長の認識と整合性があるのかお聞きします。教育長。 ○議長(村田宣雄君) 教育長,太田耕幸君。 ◎教育長(太田耕幸君) 議員がお尋ねになった教科書選定についてお答えいたします。 まず,教科書の選定手順について説明いたします。採択の方法は,義務教育小学校の教科用図書の無償措置に関する法律によって定められております。教科書は,国の検定制度に合格したものの中から,熊本県教育委員会の「採択基準及び選定資料」に従って宇土市教育委員会が採択を行います。 基本的な流れは,1年目に教科書発行者の著作編集作業,2年目に文部科学大臣の検定,3年目に採択と製造,供給,4年目に児童・生徒の使用となります。現在使用している小学校の教科書は,平成26年度に採択を行っており,平成27年度から平成30年度まで使用いたします。また,中学校の教科書は,平成27年に採択を行い,平成28年度から平成31年度まで使用することとなっております。なお,採択の時期は,使用年度の前年度の8月31日までに行わなければならないとされております。 宇土市立の小・中学校で使用される教科書の採択の権限は,宇土市教育委員会にありますが,無償措置法により採択に当たっては,「市町村の区域又はこれらの区域を合わせた地域」を採択地域として設定し,地区内の市町村が共同して,種目ごとに同一の教科書を採択することとなっています。採択地区は,その地域内で同一の教科書を使用することが適当と考えられる地域であり,都道府県教育委員会が自然的,経済的,文化的条件を考慮して決定することとなっております。 宇土市は,宇城市及び美里町を合わせた2市1町が採択地域となっています。採択地区内は,共同採択を行うための採択協議会を設置いたします。採択協議会は,管内小中学校の校長の代表,市町村教育委員会の代表,学識経験者,管内小中学校の保護者の代表からなる選定委員会を組織し,教科用図書の選定を諮問いたします。 選定委員会は,教科用図書の選定に関する専門的な事項を研究,調査させるための教科書研究員を置き,調査資料の作成と報告を求めます。また,教科書展示会において集約した保護者,教職員の意見を含めた教科用図書の採択に関する調査結果を採択協議会に答申します。その結果が採択協議会で議決され,地域内の小学校及び中学校で使用される教科用図書が種目ごとに1種選定されます。さらにその結果は,宇土市教育委員会に報告されます。宇土市教育委員会は,これらの報告を受けて合議によって,児童・生徒に最もふさわしい教科書を採択いたします。 次に,教育長はどれくらいの権限があるのか,教育長の関わりについてお答えいたします。 宇城地区の場合は,採択協議会は3名の教育長によって組織されています。私はその1人です。また,教科用図書の採択権限を有する者は教育委員会です。したがって,教科書の採択は,それぞれの委員がその職責を果たし,教育委員会が合議により責任を持って行っております。したがって教育長は,他の委員同様の権限を有していることになります。教育長に特別の権限を与えられているわけではなく,1人の教育長の考えだけで教科書の採択を進めることはできません。 最後に,教育長として,先ほど述べました歴史認識及び憲法改正についての考え方と採択される教科書との整合性についてお答えいたします。 宇土市の教科用図書の採択については,「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」によって定められた選定の手順に従って進められており,宇土市の児童・生徒に最もふさわしい教科書が採択されていると考えます。したがいまして,教科書採択における教育長の認識につきましては,教育基本法の理念及び学習指導要領を踏まえた上でも整合性はあると考えます。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 柴田正樹君。 ◆7番(柴田正樹君) 先ほど教育長の歴史認識の答弁で,歴史認識については,日本人として我が国が有史以来の歴史について,系統的に学ぶとともに重要な事象について調べ,積み重ねる中で歴史観が培われ,日本人としての自覚や誇りが育まれていくとありましたが,歴史を系統的に学び,重要な事象について調べるには教科書は最も大切であります。 教育基本法の我が国と郷土を愛する態度を養うこと,学習指導要領の我が国の歴史に愛情を深め,国民として自覚を育てるという観点から見ると,本市採択の歴史的分野の教科書では,まだ史実として確定しない事柄を記述したり,日本人が日本人として誇りを持てるような史実が欠落した部分もあり,もの足りないような気がしております。 そして憲法改正の答弁では,憲法制定当時とは予測できないほど変化,あるいは課題も多く出てきている。そのために国の将来を見据え,議論することは必要とのことですが,本市が採用している教科書とは別の出版社の教科書には,憲法改正の項目が2ページにわたり記述してあるのに対し,本市採択の教科書では,憲法改正の単語は出てくるものの項目としてはありません。 教育長の認識は,教育基本法の理念及び学習指導要領を踏まえた上でも,現在の教科書と整合しているということでありますが,我が国と郷土を愛することや我が国の歴史に愛情を深めるなど,自国を愛する教育をするためには,もっとそれに整合する教科書があるのではなかろうかと思っております。 私は今回の地方教育行政の改正から教育長を市長が任命するようになり,市長と教育長の思想や認識,そして教科書,特に社会科の教科書は教育基本法を踏まえた上でつながっていないと宇土市の教育理念にねじれや矛盾が生じると思っております。そして今後,市長の権限と思想が本市の教育現場に反映されやすくなる中,地方の首長といえど,先ほどしっかりとした答弁をいただきましたけれども,しっかりした国家観を持つべきだというふうに思っております。 太田教育長は,任期3年で次の教科書の選定には参加できないかもしれませんが,本市の教育行政におきましても地方教育行政法が改正された以上,そういったことも念頭に置きながら,今後の教育行政に挑んでいただきたいと思っております。 これで一般質問を終わります。ありがとうございました。
    ○議長(村田宣雄君) 5番,宮原雄一君。 ◆5番(宮原雄一君) こんにちは。うと・しせい会の宮原雄一でございます。今回一般質問の機会をいただきありがとうございます。 今回の質問は,台風15号被害について5点,有害鳥獣被害対策について1点を質問したいと思います。後は質問席から質問させていただきます。 ○議長(村田宣雄君) 宮原雄一君。 ◆5番(宮原雄一君) まず,はじめに宇土市の台風被害状況について質問いたします。 今年8月25日発生した台風15号は,25日午前5時過ぎに宇土半島を非常に強い勢力で通過した後,午後6時過ぎに荒尾市付近に上陸しました。熊本県では25日未明から台風を取り巻く発達した雨雲が次々に流れ込み,天草地方や球磨地方では非常に激しい雨が降り,25日午前5時には,天草市河浦町付近で1時間におよそ100ミリの猛烈な雨となりました。また,25日明け方から朝にかけて,最大瞬間風速が30mを超える非常に強い風が吹き,気象観測所の5地点で最大風速が観測史上1位を更新し,また,熊本市中央区京町では,25日午前5時28分に最大瞬間風速41.9mを観測し,8月の1位を更新しました。この台風15号では,人的被害や住宅被害の他,公共施設や農作物等への被害が甚大であったとされています。 そこで,この台風15号による本市の対応と被害状況について,総務部長にお尋ねします。 ○議長(村田宣雄君) 総務部長,益田輝明君。 ◎総務部長(益田輝明君) 台風15号による宇土市での対応と被害状況についてお答えいたします。 台風15号は,8月25日午前5時過ぎに宇城市付近から宇土半島を通過して,午前6時頃に荒尾市に上陸しております。 まずはじめに,本市の対応についてご説明します。一昨年,これは平成25年度から,明るいうちの避難「予防的避難」を実施しているため,8月24日の午後5時に市内7カ所の避難所と福祉避難所を開設しました。その後,午後7時30分に走潟地区全域741世帯2,116人,緑川地域沿岸部644世帯1,823人,網津地区沿岸部403世帯1,015人,網田地区沿岸部892世帯2,113人,合計2,680世帯7,067人に対し,避難準備情報を発令しました。翌25日の午前4時に災害対策本部を設置し,同時刻に避難準備情報を発令した地域全域に避難勧告を発令しました。避難勧告は,当日の午前10時に全て解除し,同時に災害対策本部も解散しております。 次に,避難者数について,避難所ごとの最大値でお答えいたします。福祉センター27世帯48人,花園コミュニティセンター11世帯14人,轟公民館2世帯3人,緑川小学校体育館7世帯23人,住吉漁協会議室14世帯18人,走潟小学校体育館4世帯8人,網田小学校体育館16世帯29人,合計80世帯138人でした。福祉避難所の保健センターには,避難をしていらっしゃった方はありませんでした。 続きまして,被害状況についてお答えいたします。まず,税務課で発行していますり災証明につきましては,11月25日現在で68件発行しております。台風15号は暴風が原因となった被害が多く発生しており,内容としましては,瓦の飛散や外壁の損壊など,建物の一部損壊,これが66件,ビニールハウスの全壊が1件,その他1件となっております。 次に,市が所有管理するものにつきまして,部局ごとの災害対策経費を予算額で申し上げます。 総務部は庁舎等施設の修繕や倒木処理の経費として500万円,企画部は施設の修繕料として25万円,市民環境部はカーブミラーの修繕やごみ等の処分料として1,801万4千円,健康福祉部は施設の修繕や倒木の処理として212万4千円,経済部は公用車の修繕や倒木処理として2,097万6千円,建設部は施設の修繕,土砂の撤去,団地の修繕として2,246万円,教育委員会は施設設備の修繕や倒木処理で1,743万円,合計額が8,625万4千円となっております。 最後に農業関係の被害についてお答えいたします。 農作物は主にミニトマト,それと普通のトマト,キュウリで被害額が1,497万8千円,施設関係はパイプハウス14件で被害額は2,986万円,被覆資材は76件で,被害額は2,680万円となっております。 ○議長(村田宣雄君) 宮原雄一君。 ◆5番(宮原雄一君) ご答弁ありがとうございます。次の要援護者対策について質問に入りたいと思います。 災害による被害を未然に防止することは困難なため,災害による被害をいかに軽減するかが,災害対策にとって重要になります。この災害対策の鍵となるのが,災害弱者と言われる高齢者や障がい者,乳幼児等をいかに早く避難させるかです。 平成16年の集中豪雨の際に,高齢者と災害弱者等の人的被害が大きかったことから,内閣府では,検討委員会を立ち上げ検討を行い,災害時要援護者の避難支援ガイドラインとして取りまとめ,全国の自治体に通知しました。その後も多くの自治体で災害時要援護者避難支援計画が策定されることになりました。ただ,その自治体計画の中では,要援護者の名簿の取り扱いについて,自治体間での差があったことから,その後,平成25年の災害対策基本法の一部改正により,高齢者,障がい者,乳幼児等の防災施策において,特に配慮を要する人のうち,災害発生時の避難等に特に支援を要する方の名簿の作成を義務付けること等が規定されました。 また,この法改正を受け内閣府では,避難行動要支援者名簿の作成,活用に係る具体的手順等を盛り込んだ避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組み,指針が策定され公表されたところです。 そこで健康福祉部長にお尋ねします。要援護者避難支援計画の策定状況と要援護者名簿の取り扱いについて,特に法改正前と法改正後の状況についてどう変わったかと,また,10月25日に行われた防災訓練の内容と7地区の参加行政区の割合についてお尋ねします。 ○議長(村田宣雄君) 健康福祉部長,那須大和君。 ◎健康福祉部長(那須大和君) 災害時の要支援者の対策についてお答えをいたします。 平成23年の東日本大震災におきまして,被災地全体の死者数のうち65歳以上の高齢者の死者数は約6割ありました。また,障がい者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍に上がりました。他方で,例えば消防職員,消防団員の死者,行方不明者は281名,民生委員の死者,行方不明者は56名に上るなど,多数の支援者も犠牲となっております。 こうした東日本大震災の教訓を踏まえ,避難行動要支援者名簿を活用した実効性のある避難支援がなされるように,平成25年に災害対策基本法の改正が行われました。改正の内容といたしましては,1つ,避難行動要支援者名簿の作成を市町村に義務付けるとともに,その作成に際し必要な個人情報を利用できること。2つ目,避難行動要支援者本人からの同意を得て,平常時から消防機関や民生委員等の避難支援者と関係者に情報提供すること。3つ目,現に災害が発生し,又は発生の恐れが生じた場合には,本人の同意の有無にかかわらず,名簿情報を避難支援者と関係者,その他の者に提供できること。4つ目,名簿情報の提供を受けた者に守秘義務を課すとともに,市町村においては名簿情報の漏えいの防止のため必要な措置を講ずることなどが定められております。 本市においても,この法改正を受け,宇土市地域防災計画の避難行動要支援者等支援計画について修正を行っております。この計画では,避難行動要支援者と支援体制の整備として,避難行動要支援者の把握やその名簿の作成,名簿情報提供及び情報伝達体制の整備,安否確認の体制づくりなどについて定めております。詳しくは宇土市地域防災計画書をご参照いただければと思います。 なお,本市においては,既に平成19年に民生委員の方にご協力をいただき,災害時要支援者台帳を作成しておりまして,この台帳を避難行動要支援者名簿に充てるものとしております。また,この台帳作成時に,避難支援者と関係者に対し,情報を提供することの同意を要支援者から得ておりましたので,法改正前の平成24年から嘱託員,消防署,警察署,消防団,危機管理課の避難支援者と関係者に名簿の提供を行っております。 さらに本市では,災害時においてこの名簿が最大限に活用できるように,今年の10月25日に,市内全域で要援護者台帳を活用した安否確認訓練を行いました。各行政区の参加者状況は,宇土地区が46行政区中28行政区で60.9%。花園地区が22行政区中20行政区で90.9%。轟地区が14行政区中12行政区で85.7%。緑川地区が9行政区中4行政区で44.4%。網津地区が25行政区中15行政区で60.0%。走潟地区が8行政区中8行政区で100%。網田地区が34行政区中30行政区で88.2%。全体では74.1%の参加率となっております。 訓練の内容は,嘱託員を中心とした地区役員や民生委員が,名簿に掲載された要支援者のうち支援優先度が高い方のお宅を訪問し,「体調や災害時に避難を支援してくれる人の有無」,「徒歩や車等の避難方法」を聞き取りをし,7地区それぞれに置かれた地区本部の各地区消防団分団長に安否確認を行えた人数を報告し,最終的には分団長が宇土マリーナに置かれた災害対策本部の宇土市消防団副団長に報告するというものでございました。 今後も宇土市地域防災計画に掲げるとおり,避難支援等の実施に必要な限度で消防機関,県警察,民生委員,社会福祉協議会,自主防災組織,その他の避難支援等に係る関係者に対し,要支援者の同意を得た上で要援護者台帳を提供し,要支援者に対する情報伝達体制を整備していきたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 宮原雄一君。 ◆5番(宮原雄一君) ご答弁ありがとうございます。総務部長の答弁によりますと,8月24日午後7時30分に,走潟地区全域741世帯2,116人,緑川地区沿岸部644世帯1,823人,網津地区沿岸部403世帯1,015人,網田地区沿岸部892世帯2,113人,合計2,680世帯7,067人に対して避難準備情報が発令されております。そして25日の午前4時に避難勧告が発令されております。要支援者は,避難準備が発令された時点で避難するのが望ましいのですが,今回は保健センターに避難された方はいらっしゃらなかったということは,要支援者避難計画が活用されなかったかと思います。今後は防災訓練などの徹底で,要援護者への支援意識を高めていくのが必要と思います。 次の質問に入ります。今回の台風15号は,熊本県内に暴風雨による倒木の被害が多く発生しています。宇土市内でも,道路や河川に対する災害が多数発生したと思いますが,今回は道路や河川そのものは被害を受けていません。倒木等で道路が通行できない,又は河川の水が塞がれたりしたなどの事例が多く見受けられたと思います。具体的に地域ごとに倒木処理を行った件数,又は復旧までの日数,それから道路においては市道のみが対象だったのか,建設部長にお尋ねします。 ○議長(村田宣雄君) 建設部長,下鶴治久君。 ◎建設部長(下鶴治久君) 台風15号による道路等の倒木処理について,地区ごとの件数と道路の復旧日数等についてお答えをいたします。 まず,倒木処理の件数でございますが,宇土地区では道路6件,水路2件。花園地区は道路8件。轟地区は道路11件,水路1件。緑川地区は道路2件。網津地区は道路11件,水路1件。網田地区は道路9件でございました。倒木の処理費用は,総額で765万7,497円となっております。 次に,「復旧までどの程度日数を要したか。」というご質問でございますが,住民の方から倒木の撤去依頼の連絡がありましたら,すぐに現場近くの土木業者へ連絡をし,緊急案件として倒木の処理を依頼をしております。土木業者は1日から3日以内で処理を行っております。ただ,台風被害の発生後,1カ月以上経過した後に処理をした件数が5件ありました。これは山間部の市道で,住民の方が道路を利用されて初めて倒木に気づかれ,連絡があったものでございます。連絡を受けまして,すぐに処理を行っております。 最後に,道路の倒木処理は「市道以外も行うのか。」というご質問ですが,基本的には市道認定路線が対象でございますが,今回は集落内や生活道として利用されている里道等につきましても,土木課で倒木処理を行っております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 宮原雄一君。 ◆5番(宮原雄一君) ご答弁ありがとうございます。今後,市民のためにも素早い対応と市道以外でも対応が必要と思います。 次の質問に入ります。先ほど樫崎議員が災害ごみについて質問されており,重複する点があると思いますが,質問したいと思います。 今回の台風15号災害では,暴風雨による被害が多く発生しており,公共施設はもとより一般家庭からもトタンやスレート等の災害ごみが多く発生したと思います。市では災害ごみについては,一定期間を設けて処分料の免除を行っており,これについては一定の成果があったと思いますが,具体的にどのような処理を行ったのか。また,一般市民から苦情や相談がなかったか,あったとすればどのような内容であったか,市民環境部長にお尋ねします。 ○議長(村田宣雄君) 市民環境部長,山本桂樹君。 ◎市民環境部長(山本桂樹君) ご質問にお答えいたします。 各家庭などで発生した災害ごみは,清掃センターに設置しました仮置き場へ自己搬入していただきましたが,搬入前に市役所に置いていただいて,ごみの内容を担当で確認し,処理手数料減免申請の許可を行った後,仮置き場に搬入していただきました。減免処理件数は535件ございました。 ほとんどの住民の方は,この処理方法によって処理していただきましたが,苦情や相談もございました。苦情や相談の中で目立った内容としては,「うちの敷地にカーポートのアクリル板が飛んできた,市で回収してもらえないか。」あるいは,「高齢なので1人では割れた瓦を運搬できない,市で取りに来てもらえないか。」また区長から,「区の置き場にカーポートや瓦など違反ごみが置かれている,市で対応できないか。」など回収に関するものでございました。このような苦情・相談に対しましては,相談者の事情に応じて,担当で回収に伺ったものもございました。なお,9月18日に仮置き場を閉鎖いたしましたが,その閉鎖の前には,区のごみ置き場に災害ごみが置かれたままになっていないか,最終的な確認も行っております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 宮原雄一君。 ◆5番(宮原雄一君) ご答弁ありがとうございます。減免処理の成果が出て,少々の苦情で済んだようですが,災害ごみはお互いの協力が必要と思います。 次の質問に入ります。今回の台風15号災害では,農林水産業関係の被害が多く発生しました。国の取りまとめた被害状況によれば,農業関係が約150億円,林業関係が約77億円,水産業関係が約12億円,また熊本県の発表では,農林水産業関係が87億5,900万円,内訳は農業関係が約54億2,000万円で全体の6割,このうちトマト,メロン,クリ,ナシ,温州みかんなど,農作物の被害が約26億6,900万円,ビニールハウスなど園芸施設2,837カ所を含めた農業施設関係が約24億7,200万円となっています。また,林業関係では約30億1,400万円,水産業関係では約3億2,500万円ということです。 今,述べましたように,今回の台風では農業関係の被害が目立っています。宇土市内でも多くの農業被害が発生しています。これに対する国や県の支援策について,経済部長にお尋ねします。 ○議長(村田宣雄君) 経済部長,田川修一君。 ◎経済部長(田川修一君) 台風15号の影響で被害を受けた農家の方々に対する経営再建支援策についてお答えいたします。 支援策の1つといたしまして,国の既存事業でございます経営体育成支援事業があります。この事業は,農業者が農業用機械等を導入する際に,国からの事業費の10分の3以内が補助金として交付されるというものでございます。今回,この台風15号被災農業者につきましては,国からの補助金の優勢配分が行われるとの情報を九州農政局から入手しております。 さらに,県の単独補助事業といたしまして,台風被害園芸・果樹復旧対策事業が創設されております。この事業はハード面で,ハウス等の復旧支援,これは補助率は事業費から共済金支払額や支払いみなし額を控除した額の10分の4以内が交付されます。この事業に加え,ソフト面で被害を受けたことで必要となる薬剤,農業資材及び種苗類につきましても,支援を行うというものです。この事業の補助率は定額,もしくは3分の1以内となっております。 この2件の要望につきましては,熊本県からの事業説明会終了後,速やかに熊本県やJA等の関係機関と連携しまして,農業者へ周知を行い,既に熊本県へ提出しておりまして,併せまして今市議会の補正予算として計上いたしております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 宮原雄一君。 ◆5番(宮原雄一君) ご答弁ありがとうございます。今,農業を取り巻く行政は,TPP大筋合意などで,大変厳しい状況が予想される中,これからはそれに向かって国内外への販路拡大など攻めの農業が必要と思います。そのためにも,台風に強いハウスにフル装備を組合せた,次世代型ハウスの推進などで,施設園芸の強化を図るなど,今後,自然災害に強い農業振興を図ることが大切と思います。 最後の質問に入りたいと思います。 6月の定例議会で,芥川議員が有害鳥獣被害対策について質問されておりますが,秋の農産物収穫期にかけて,イノシシの被害が農家にとって深刻な問題になっているとのことで,質問したいと思います。 熊本県の26年度のイノシシ捕獲頭数は,有害駆除で1万9,252頭,狩猟で8,780頭,合計2万8,032頭となっております。JA熊本うきの調査では,今年は宇土半島を中心に,果樹や米など多くの農家の方が被害を受けているとのことで,対策を協議するとのことでした。配布した資料は,緑川地区を調査したときのイノシシの被害状況であります。このようにイノシシによる被害は増加しています。 そこで本市におけるイノシシの被害状況と対策の進捗状況について,経済部長にお尋ねします。 ○議長(村田宣雄君) 経済部長,田川修一君。 ◎経済部長(田川修一君) 最初に,平成24年度から26年度におけるイノシシによる農作物被害額をお答えいたします。 平成24年度の被害額は130万円,平成25年度が56万円,平成26年度が90万円となっております。被害を被った農作物は,果樹,水稲,イモ類でございます。被害額は市に報告があって把握している数字となっておりますので,実際の被害額はこれ以上あると思われます。本年度の農作物被害額につきましては,10月末までの被害額は,既に昨年度の件数を上回っており,水稲につきましては中山間に隣接したほ場,果樹につきましては網田地区を中心に被害報告が挙がっておりますので,前年度の被害額を大幅に超えるものになると思っております。 次に,イノシシの捕獲対策をお答えします。 イノシシの個体数の減少を目的に,駆除を熊本県猟友会宇土支部と業務委託契約を締結し,効果的な捕獲を行っております。今年の6月から有害鳥獣の緊急捕獲体制の強化を目的に,宇土市鳥獣害防止計画に基づき対象鳥獣の捕獲や防護柵の設置を始めております。 その一例といたしまして,緊急時における捕獲活動の実践活動を担う組織として,市の担当職員や熊本県猟友会宇城支部で構成する「宇土市鳥獣害対策実施隊」を結成し,猟友会との有害鳥獣捕獲を継続させるとともに,緊急時における捕獲や追い払い活動等の充実・強化を図ることとしております。さらに,捕獲頭数1頭当たりの報奨金を猟友会の業務委託契約に追加するため,今議会に補正計上させていただいております。その内容といたしましては,捕獲報奨金をイノシシの成獣1万2千円,幼獣が5千円交付させていただくというものになります。さらに今月の14日と15日には,宇土半島の山間部を中心に宇城市と宇土市の猟友会による一斉捕獲が計画されており,準備を進めているところでございます。 捕獲以外の対策にお答えします。 近年イノシシ等の生息分布の拡大,耕作放棄地の増加に伴い,鳥獣による農作物被害は深刻化し,増加している状況でございます。さらに今年8月に台風が熊本県に上陸しまして,イノシシの餌となるドングリ等が不足して山里へ下りてきて,被害が拡大していると考えております。 このような鳥獣被害に対応するため,本年度から有害鳥獣による農作物の被害防止を図る目的で,有害鳥獣侵入防止柵等の設置に対して補助金を交付しております。今年11月末現在で17件の申請がありまして,設置面積が6.2ヘクタールとなっております。 今後の対策としまして,現在,熊本県猟友会宇土支部員は39名おられますが,高齢化が著しく進み,将来の担い手となる捕獲者の育成が急務だとも考えております。さらに農作物等の被害を未然に防止するためには,猟友会等による有害鳥獣捕獲活動に併せ,農業者などに対して追い払い等の自己防衛策や廃棄農作物等の環境改善等を指導し,地域住民へ被害防止策についての意識啓発を図る必要があると考えております。 今後も引き続き,熊本県猟友会及び地域住民等と連携し,被害を従前に察知するとともに,被害発生の阻止及び効果的な捕獲に努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(村田宣雄君) 宮原雄一君。 ◆5番(宮原雄一君) ご答弁ありがとうございました。被害を減らすにはイノシシの個体数を減らすのが一番有効であると思います。今後の努力をお願いしたいと思います。農家の方も侵入防護柵の設置など,守る対策も必要であり,これも集落全体で取組む必要が重要と思います。 以上をもちまして,私の一般質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(村田宣雄君) 以上で,本日の質疑並びに一般質問を終わります。 次の本会議は,明日8日火曜日に会議を開きます。 本日は,これをもって散会をいたします。お疲れさまでございました。             -------○-------                午後2時23分散会...